投資のリスクは? エネルギー価格との相関に注意 法人税が重くなりやすい構造も

最後にINPEXへの投資における注意点を押さえておきましょう。INPEXには、業界・業種ならではの特有のリスクもあります。

まず気を付けたいのは市況です。INPEXの販売する原油や天然ガスの価格は、国際市況に連動する傾向にあります。エネルギー価格が下落すれば、売り上げや利益の減少が想定されます。INPEXは、原油価格が1バレルあたり1ドル変動すると、業績は年間60億円増減すると試算します(2024年12月期)。

この思惑から、INPEXの株価も原油価格に連動する傾向があります。原油価格の動向には注意したいところです。

同じく為替にも注意が必要です。事業の大半を海外で展開するINPEXは、収支の大部分が米ドルです。円高が進めば、円ベースでの業績は悪化することとなります。INPEXは、1ドルあたり1円の変動で年間業績は24億円増減すると試算します(2024年12月期)。

またINPEXは税負担率の高いことでも知られます。事業活動の大部分を海外で行うINPEXは、法人税のほとんどを海外に納めています。税率の高い地域があることや、国内で生じた費用が控除対象外になる場合もあり、税負担が重くなりやすい構図となっています。

重い税負担が構造的なものなら、税費用を反映する純利益がINPEXの実力をよく表していると考えられます。INPEXの業績は、純利益ベースで見るようにしましょう。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

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