原油・天然ガス生産の国内最大手 数兆円、数十年のスケールで開発

INPEXはエネルギー資源の開発企業です。油田やガス田を開発し、原油や天然ガスの生産・販売を手掛けています。以前は国際石油開発帝石(国際帝石)という社名でした。創業80周年にあたる2021年に現在の社名へ変更しています。

石油産業というと、私たちには石油会社の方が身近かもしれません。石油会社(石油元売り)は、一般に原油からガソリンや灯油といった燃料油や、エチレンやプロピレンといった化学製品を生産する企業を指します。これら原油に由来する製品は、電力会社や化学メーカーなど、さまざまな産業向けに販売されています。

一方INPEXは、原油そのものを生産する企業です。すそ野の広い石油産業の中でも、INPEXは上流部門を担う企業といえます。

生産までのプロセスは、おおむね権益の取得→探鉱→採算性の評価→開発→生産です。権益を取得した鉱区で調査や試掘(探鉱)を行い、生産性が認められれば投資を決定します。そして掘削と生産設備の建設(開発)を経て生産に入ります。

大規模なプロジェクトは生産まで長い時間がかかります。INPEXがオペレーター(操業主体)として参加するオーストラリアのガス開発事業「イクシス」は、権益の取得が1998年、投資の決定は2012年でした。生産は、権益取得から20年後の2018年に始まっています。投資額も巨額で、INPEXはおよそ1.9兆円を投じたとみられています。

INPEX は原油や天然ガスの生産で国内の最大手です。生産量は日本の年間エネルギー消費量の約1割に匹敵します。開発は海外が大部分を占めており、生産量の96%、売り上げの64%が海外に由来します(2023年12月期)。

【INPEX のセグメント業績(2023年12月期)】

出所:INPEX  有価証券報告書

【関連記事】商船三井の株価5倍、上方修正で予想配当利回り5.7%に 運賃市況の今後の見通しは?