今期は2四半期連続で通期業績予想を上方修正&自社株買い 予想配当金も引き上げ
次にINPEXの経営成績を解説します。
直近10期を振り返ると、INPEXの業績は振れ幅が大きいことがわかります。純利益だけでなく、売り上げから大きな変動がみられます。
業績の大きな変動は、INPEXがエネルギー価格の影響を受けやすいことが背景にあります。2020年12月期はエネルギー価格の下落から最終赤字に転落しました。以降はエネルギー価格が上昇したこと、また円安が進んだこともあり、近年の業績は拡大傾向にあります。
次に足元の業績を確認しましょう。今期(2024年12月期)は中間決算まで公表しており、好調に推移しています。第1四半期に続き、中間でも通期の業績予想を上方修正しました。期首予想比で売上収益を3200億円、純利益を300億円引き上げています。
上方修正の理由として、INPEX は主要なプロジェクトで安定した生産ができ、また想定よりエネルギー価格や為替レートが上昇したためだと説明します。進捗が想定どおりなら、通期では前期比で2ケタ増益となる見込みです。
なお、中間までの実績では、純利益は前年同期比で減少しています。これは税費用が悪化したためです。売上収益と税引き前利益までの各段階利益は増加しています。しかし法人所得税費用の増加が重く、純利益は減益となりました。
【INPEXの業績(2024年12月期 第2四半期)】
・売上収益:1兆1908億円(+10.4%)
・営業利益:7000億円(+15.3%)
・純利益:2125億円(-14.5%)
※()は前年同四半期比
【INPEXの業績予想(2024年12月期)】
・売上高:2兆2540億円(+4.1%)
・営業利益:1兆2490億円(+12.1%)
・純利益:3600億円(+11.9%)
※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想
※上方修正の概要(期首予想比):売上収益+3230億円、営業利益+2390億円、純利益+300億円
出所:INPEX 決算短信
進捗が好調な今期は株主還元にも積極的です。
INPEX は中間と期末で年2回の配当を実施しています。今期はそれぞれ38円ずつの配当を計画していたところ、中間は実績で43円、期末予想も43円に引き上げられました。
中間決算では自社株買いも公表されました。自社株買いの公表は、第1四半期に続いて2四半期連続です。上限は800億円(自己株式除く発行済み株式総数の5.17%)とし、第1四半期の公表分(上限500億円、同3.18%)より引き上げています。なお、第1四半期の公表分は、7月までにほぼ全額が実施されています。
市況や為替などから、INPEXの今期の業績は想定より順調に推移しているようです。しかし主要な原油価格は、今年3月のピークからは下落傾向にあります。次の決算には注意したいところです。第3四半期決算は11月上旬に公表の予定です。
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