10年で3.5倍 高いリターンが投資家を呼び込む

高いリターンを残していることも、S&P500が人気の理由の1つでしょう。

S&P500の直近10年間のトータルリターンは13.38%となりました(2024年9月末時点)。10年間で約3.5倍に上昇したことになります。あくまで過去の実績ですが、高いリターンが投資家の注目を集めている可能性があります。

【S&P500のトータルリターン(年率)】
・1年:36.35%
・3年:11.91%
・5年:15.98%
・10年:13.38%
※2024年9月末時点

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P500 ファクトシート

年別でもリターンの出現はプラスに偏っています。直近では2022年と2018年がマイナスでした。その他の年では比較的大きなリターンを得ています。

S&P500を参照する投資信託には低コスト銘柄が多い

S&P500を参照するインデックス型ファンドが人気の理由は、コストの低い銘柄が多いということも影響しているでしょう。主要銘柄の多くは信託報酬が0.1%未満の水準です。

【S&P500を参照する主なインデックス型ファンド】

出所:各銘柄の交付目論見書

S&P500を参照するインデックス型ファンドのコストが低いのは、運用会社間の競争が働いている可能性があります。

例えば「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、もともシリーズ内では比較的高めの信託報酬率で設定されました。しかし、その後は相次いで引き下げを実施し、「オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))」が2023年8月に引き下げるまでは、シリーズ内の主要な海外株式型で最低水準でした。

運用会社の三菱UFJアセットマネジメントは、信託報酬の引き下げの理由として他社類似ファンドの情報を基に決定したと説明しています。他社でよりコストの低い類似ファンドの設定や信託報酬の引き下げが相次いだことから、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)もそれに応じて信託報酬を引き下げたと考えられます。

過信は避ける 分散投資を忘れずに

S&P500は優良株が採用されやすい仕組みがあり、実績リターンも良好です。また、S&P500を参照するインデックス型ファンドはコストが低い銘柄が少なくありません。S&P500が支持されるのは、これらの要因が影響していると考えられます。

とはいえ、S&P500に投資していれば安心、というわけではありません。単一国への投資は、複数の地域への投資と比べるとリスクが高くなる傾向にあります。また日本から米国へ投資する場合、為替リスクも考慮する必要があります。

S&P500は優秀な指数といえそうですが、投資の際は分散投資も心がけたいところです。