三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slimシリーズの二枚看板、いわゆる「オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))」と「S&P500(eMAXIS Slim米国株式(S&P500))」は人気の高い投資信託です。純資産総額はそれぞれ3兆9696億円と5兆1953億円に上り、国内で2位と1位にランクインしています(2024年7月24日時点。ETFと公社債投信を除く公募投信)。

とても人気のある銘柄ですから、この2本を組み合わせて運用している人もいるかもしれません。しかし、分散投資の効果は限定的なものになるでしょう。

なぜオルカンとS&P500を組み合わせても分散投資の効果が小さいのか、わかりやすく理由を解説します。

※S&P500は株価指数の名称ですが、この記事ではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のことを指します。

オルカンも大部分は米国株 銘柄ベースでも重複大きい

オルカンとS&P500を組み合わせても分散投資の効果が小さい理由は、投資対象の重複が大きいためです。

S&P500は、原則として米国株式100%で運用される投資信託です。一方、オルカンは全世界の株式で運用されます。

ただし、オルカンの投資対象の6割はアメリカ株式です。2024年6月末時点では63.5%をアメリカ株式が占めています。

つまり、オルカンとS&P500はどちらもアメリカ株式の比重が大きい投資信託といえます。両者を組み合わせても、実際の投資対象のほとんどはアメリカ株式が占めることとなります。

銘柄ベースでも重複は多い傾向にあります。2024年6月末時点で、オルカンとS&P500は組入上位10銘柄のうち9銘柄が共通しています。さらに上位7位までは順位も全く同じです。

【組入上位10銘柄(2024年6月末時点)】

※オルカン:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、S&P500:eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 出所:三菱アセットマネジメント eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 月報 三菱アセットマネジメント eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 月報