米国の株価指数である「S&P500」は多くの人に注目されています。実際、インデックス型ファンドの純資産総額ランキングの1位と3位はS&P500を参照する銘柄で、上位10銘柄の参照指数のうち、純資産総額の約4割を占めています。

【インデックス型ファンドの純資産総額 上位10銘柄の参照指数】

S&P500の人気は、優良株で構成されやすい仕組みがあること、高い実績リターンを残していることが背景にありそうです。また、インデックス型ファンドの参照指数として人気なのは、低コスト銘柄が多いことが理由の1つと考えられます。それぞれ簡単に解説します。

S&P500ってどんな指数?人気の秘密は「構成銘柄の条件」?

S&P500が人気の理由は、構成銘柄の条件にあるかもしれません。単なる時価総額の降順ではなく、優良株で構成されやすい仕組みが採用されています。

S&P500の主な構成銘柄の条件は以下の通りです。大まかにいうと、S&P500は「米国の大企業」かつ「黒字企業」の株式で、さらに「取引の多い」銘柄で構成されます。

【S&P500の主な構成銘柄の条件】
・米国を本拠地とする上場企業
・時価総額が最低180億ドル以上
・時価総額に占める浮動株の割合が最低50%以上
・半期の売買高が25万株以上
・直近の四半期が黒字
・直近4四半期の合計が黒字

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P米国株価指数メソドロジー

S&P500の構成銘柄は、少なくとも180億ドル以上の時価総額が求められます。1ドル=150円で考えるなら2.7兆円以上で、国内では食品株のアサヒグループHDが相当します。なお、時価総額2.7兆円以上の企業は日本国内では76社しかありません(2024年10月11日終値)。

さらに、時価総額の50%以上を浮動株が占める必要があります。浮動株とは、安定株主に固定されていない株式を指します。一定の浮動株を確保することで流動性を保つ仕組みです。また半年間に25万株以上の売買が必要という条件もあります。

加えて、構成銘柄は利益を出していることが求められます。直近の四半期が赤字の場合は対象外です。また直近の四半期が黒字でも、直近4四半期の利益の合計が赤字なら除外されます。

S&P500は、これらをクリアした銘柄で構成されることとなります。構成比率の上位にはアメリカを代表するハイテク企業が並んでいます。

【S&P500 構成比上位5銘柄】
・アップル
・マイクロソフト
・エヌビディア
・アマゾン
・メタプラットフォーム(旧・フェイスブック)
※2024年9月末時点

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P500 ファクトシート