AIを成長の柱に、市場規模は2030年で1兆8000億円 エヌビディア計算基盤に1500億円を投資

ソフトバンクは2024年6月、株主総会でAI関連事業への投資を強化する方針を明かしました。当面は生成AI計算基盤データセンターを拡張し、収益の柱に育てる考えです。

生成AIについて、その市場規模は2023年の1000億円から2030年には1兆8000億円まで拡大すると予想されています。これを収益機会と捉え、ソフトバンクはまず生成AIの開発に必要となるAI計算基盤の貸し出しに着手します。

ソフトバンクは2023年9月に本格的なAI計算基盤を構築し、同年10月に稼働を開始しました。計算基盤にはエヌビディア製のGPUが使われています。投資額は、国からの補助金53億円を除いて約130億円に上りました。

ソフトバンクは投資額を引き上げ、計算基盤をさらに拡張します。2024年5月には、2025年度までに約1500億円を投資する計画を明かしました。経済産業省の認定も受けており、最大421億円の助成を受けるとしています。

業種を超えた協業にも取り組みます。ソフトバンクとシャープは2024年6月、データセンターの構築に向けた基本合意を締結しました。シャープの堺工場(大阪府)の土地と建物を活用し、大規模なAIデータセンターを構築する計画です。設備を転用することで、早期の稼働を目指します。着工は2024年秋ごろ、本格稼働は2025年中の予定です。

このように、ソフトバンクのAI事業への取り組みは加速しています。今後は生成AIサービスの提供や、生成AIを活用したコンサルティングおよびソリューションの提供などに取り組む計画です。

ただし、当面は費用が先行します。生成AI等への成長投資で、営業利益は2025年度まで約300億円の下押しがあるとソフトバンクは分析します。大きな成長が期待されるAIですが、収益の貢献はまだ先のようです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)