医師に人気の節税対策1位は「ふるさと納税」、実に 85.8%が実施

それでは具体的な節税対策を挙げていきましょう。まずは「ふるさと納税」から。納税という言葉がついていますが、実態は自治体への寄付。自己負担額の2000円を除いた寄付金全額が所得税や住民税から引かれることで税負担が軽減されます。これだけだと税金が寄付金に変わっただけですが、実際は寄付金の3割以内で返礼品をもらえるケースがほとんどで、そこが実質的な節税となるようです。

例えば年収1500万円の30代男性勤務医(※)というモデルケースの場合、ふるさと納税額の年間上限は約39万円です。このうち自己負担額である2000円除いた約38万8000円が控除され、最大で約11万7000円の返礼品がもらえる計算です。

※配偶者(給与収入201万円超)、子ども2人(小学生以下)

一般の人でも比較的なじみがありそうな節税対策ですが、医師の取り組み状況はどうでしょうか。調査結果では、ふるさと納税を「実施している」と回答した人は実に85.8%。最近はスマホのアプリで自治体への手続きが完結するなど、後述する節税対策に比べると手間や専門知識が不要なことから、取り組みやすいのかもしれません。

 
出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/

医師に人気の節税対策2位は「NISA」で64.6%が実施

続いての節税対策は「NISA」。通常、株や投資信託などの投資では、配当金や売却益に20.315%の税金がかかります。しかしNISAの非課税口座で投資を行う場合、そうした税金はかかりません。

例えばNISAのつみたて投資枠を使って、年間投資額の上限まで投資信託への積立を行った場合、トータルで1800万円まで積立が可能。仮に運用利回りが年率3%として、積立が全て完了した後も15年間継続保有した場合、運用損益は約1736万円。課税口座ならかかる約347万円の税金がNISA口座ならかかりません。

2024年から新NISAが開始し、利用が拡大しているとの報道もありますが、医師の取り組み状況はどうでしょうか。調査結果では、NISAを「実施している」と回答した人が64.6%。また「実施していないが興味はある」と回答した人も18.0%と、今後も拡大の余地がありそうです。

 
出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/

医師に人気の節税対策第3位は「iDeCo」、49.6%が実施

投資関連の節税対策としてはNISAと並んでポピュラーだと思われるのがiDeCo。自分で掛金を支払い、自分で運用し、資産形成を行う年金制度で、基本的に65歳未満の国民年金加入者ならば加入可能。掛金を拠出する時、運用する時、給付を受け取る時、3つのタイミングで節税メリットを享受できます。

掛金を拠出する時だけで見ても、先ほどのモデルケースだと、仮に35歳から65歳まで年間掛金の上限まで積立を行った場合、約356万円分の所得税が軽減される計算です。

iDeCoに取り組んでいる医師はどの程度いるのでしょうか。調査結果では、iDeCoを「実施している」と回答した人が49.6%。また「実施していないが興味はある」と回答した人が21.3%と、NISA同様、今後も拡大の余地がありそうです。

出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/