◆ヘッジコストを抑えたグローバル債券に注目が集まる

三井住友銀行の売れ筋で第5位になった「GSグローバル・パーシャルヘッジ社債ファンド」は、利下げ前の足元の高金利を取り込んで、かつ、欧米の利下げに伴う為替の円高懸念のリスクを軽減することにつながる「部分的な為替ヘッジ(パーシャルヘッジ)」という手法を提案している。同ファンドは、2023年11月に設定されたファンドで、まだ運用期間は1年に満たない。世界の社債に分散投資を行う同ファンドは、償還までの期間が1年から5年という短中期債を投資対象とし、社債としての価格変動リスクを抑え、かつ、ポートフォリオの70%を投資適格債として信用リスクも抑えた銘柄選定を行う。そして、為替ヘッジは70%程度としてヘッジコストの低減に努めている。

同ファンドが設定された2023年11月は1ドル=150円程度だった。それが現在は1ドル=140円前後という水準に円高・ドル安が進んでいる。今後もドルが金利引き下げを志向し、円が金利を維持・向上させる方向で動くとすれば、さらなる円高ということも考えられる。本来であれば、現在のような環境こそ海外資産への投資には為替ヘッジが必要だが、日米の短期金利の差は5%程度にも広がっており、為替ヘッジのコストはこの金利差分に相当するコストになる。この高いヘッジコストを回避する点で「パーシャルヘッジ」が選択されている。設定当時のモデルポートフォリオでは、為替ヘッジ前で年6.2%の利回りが確保できる環境だった。その後、欧州は利下げに踏み切り、米国も利下げに動く。市中金利が低下する環境は、債券の保有者にとっては保有している債券価格が上昇するメリットがある。

◆みずほ銀の“推し”、米キャピタル・グループとは?

みずほ銀行の売れ筋トップ10に4本が並ぶ「キャピタル」と名付けられたファンドは、米大手運用会社であるキャピタル・グループの運用商品を示している。キャピタル・グループは1931年の創業で、ちょうど大恐慌の後、混乱する米国にあって、徹底的なファンダメンタルズ分析(個別企業の企業価値に注目した投資手法)の重要性を唱えて運用成績で信頼を勝ち得てきた会社だ。ファンダメンタルズ分析のパイオニアともいわれている。

現在、米国において「アメリカン・ファンズ」として知られる同社の旗艦ファンドシリーズの中の米国株式ファンド「The Investment Company of America (ICA) 」の運用を開始したのは1934年のことだ。キャピタル社の「アメリカン・ファンズ」は、米国の確定拠出年金(401kプラン)の対象商品として多くのプラン加入者が使って資産形成に役立てているファンドとして著名だ。

また、長期に運用品質をキープする仕組みとして、1つのファンドを複数のポートフォリオマネジャーで担当する「キャピタル・システム」を採用していることも特長だ。長期投資に徹した長期の運用実績のある米国を代表する伝統的な運用会社こそが、キャピタル・グループといえる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩