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今週は何と言っても世界中が注目したNVIDIAの決算でした。決算内容については、新聞でも十分に取り上げられており、予想を上回ったことや売上が少し欠けたことなどが報じられています。しかし、ここではそれらの内容は完全に無視し、異なる視点から分析を行います。

 

私がご紹介するのは、株価の動きの分析、つまりプライスアクションアナリシスと呼ばれるものです。これは元々チャート分析の一つで、ローソク足や折れ線グラフ、移動平均線などを用いる手法の一つです。

今回お話しするのは、NVIDIAの上昇スピードについてです。株価は上がってきましたが、その上昇スピードは毎日同じペースではありません。3%上がったり2%下がったりしながら、平均的に1ヶ月や3ヶ月単位でのスピードが計測できます。このスピードの変化を分析していくと、NVIDIAの株価のモメンタム、つまり勢いにサイクルが見つかります。

このアプローチは、アナリストたちが決算の数字を詳細に分析するのとは全く異なります。ただ単に値動きを見て、どのような動き方をしているのかを分析します。

使用するのは株価のデータだけです。NVIDIAの日足チャートを見ると、高値が140ドルを記録したのは6月でした。7月、8月と2ヶ月連続で高値更新できなかった場合、久しぶりの現象となります。

 

月足チャートで見ると、今回のピークは6月ですが、その前にもいくつかのピークが確認できます。それぞれ1ヶ月ほど押し目が入っていることがわかります。このように、株価は単調に上昇するのではなく、波を持ちながら4回か5回の波を経て上昇しています。

 

この月足ベースの分析方法は、誰でも行うことができる手法です。具体的な方法をご説明します。まず、上昇スピードを月間単位で計算します。1ヶ月間に何パーセント上がったか、または下がったかを見ていきます。そして、1ヶ月間のスピードを算出し、それを3ヶ月間の平均スピード、6ヶ月間の平均スピード、12ヶ月間(1年間)の平均スピードとして計算します。これらを年率化したものがグラフとなります。

このグラフを見ると、スピードが上がって落ちる、また上がって落ちるというパターンが繰り返されていることがわかります。3ヶ月のスピードは比較的ブレが大きく、1年(12ヶ月)のスピードは非常にゆっくりとしたサイクルを描いています。その中で、比較的山と谷が綺麗に見えるのが6ヶ月間のスピードです。

 
 

この6ヶ月間のスピードのグラフを見ると、今回のモメンタムのピークが2024年6月、その前が1年前、さらにその前が1年と5ヶ月前、そしてその前が1年と2ヶ月前となっています。一方、スピードが最も減速するポイントは比較的安定しており、2021年3月から2022年9月までの1年半、あるいは1年3ヶ月ほどの間隔で現れています。

このパターンが続くとすれば、次のモメンタムの低下は来年の3月から6月ごろまで続く可能性があります。

しかし、これはかなりざっくりとした月ベースの分析です。もう少し正確に分析しようとすると、日足ベースの計算が必要になります。1日の騰落率を使い、過去3ヶ月間(約60営業日)や過去6ヶ月間(約100営業日)のデータを取り、より詳細なグラフを作成します。

 

 

 

 

 

このように日足ベースで分析しても、6ヶ月スピードの山と谷のタイミングは月ベースで見たものとほぼ一致します。現在はスピードが頂点に達し、これから下降局面に入ると考えられます。ただし、過去の例を見ると、スピードが0を下回らずに推移するケースもあり、それは相場の強さを示しています。