インフレや有事に強いとされる「金」。価格は高水準で推移
宝飾品や工業用など幅広いニーズがあり、古くから世界中で普遍的な価値が認められている「金」。
近年は価格の上昇が止まらず、海外ドル建価格(ドル/トロイオンス)は2024年に入り2000ドルを超え、7月には史上最高値の2480ドルを記録。円建価格も同様で、金販売価格の代表的な指標の一つである田中貴金属工業の小売価格(円/グラム)も今年3月に1万円を超え、7月には最高で1万2618円に達しました。
信用度が高く、世界中のどこでも換金できることから、金は資産かつ投資の対象として扱われています。政治や経済が混乱したり災害が起きるなど、地政学リスクが高まると通貨に対する信用力が低下するので「有事の金」として保有したり、インフレ時に値上がりする傾向もあるので、物価上昇時にあえて投資する人もいるようです。
【金投資のメリット】世界中で価値が担保されている
金は世界共通の資産であり価値が担保されていることから、通貨や株式・債券のように国・地域・企業が破綻しても無価値になりにくいのがメリットです。むしろ、不況や紛争などで国に信用不安が起きると、資産の避難先として金の需要は高まると考えられます。
また、金は存在そのものに価値がある実物資産です。経年劣化や腐食にともなう価値の低下とも無縁で、取引における安全性・信頼性の高さは言うまでもありません。埋蔵量には限りがあり、希少性も維持するので、無価値になることもないとされています。
インフレに強いのもメリットです。モノの値段が上がり、貨幣の価値が下がる局面でも、希少価値の高い実物資産の金は影響を受けにくく、同じように価格は上昇する傾向にあります。
【金投資のデメリット】利息や配当は生まない
預貯金であれば利息、株式や債券にも配当金・利息、投資信託には分配金など、インカムゲインが期待できます。対して金貨や金地金、純金積立は現金と金を等価交換するだけで運用はしておらず、利息や配当を得られません。金自体の価格が上昇しないと利益は生まれないのです。
また、金を現物で購入し保管するとなると、紛失・盗難のリスクがつきまといます。銀行の貸金庫、販売事業者による預かりサービスがありますが、手数料がかかります。