インフレ率を「高い」と感じる経営者が多数

今回の調査では、企業経営者500人を対象に、インフレが企業経営に与える影響について尋ねた。その結果、現在のインフレ率について、「高い」と回答した経営者は全体の55%に達した。その一方、低いと感じている経営者も12%いた。。

 

また、インフレ率の変動が企業経営に与える影響については、「かなり影響している」「非常に影響している」を合わせて約半数となり、「少し影響している」と回答した層も合わせると9割近くに達した。

価格転嫁やコスト削減が進むも、労働力確保に苦戦する企業も

具体的な影響としては、原材料や仕入れコストの上昇が挙げられる。これに対し、70%の企業が製品やサービスの価格を「値上げした」「一部値上げした」と回答しており、企業努力によるコスト吸収には限界がある現状が伺える。コスト削減に取り組む企業も多いものの、物価上昇の勢いに対抗するには至っていないようだ。

 

さらに、インフレは従業員の賃金にも影響を与えており、「賃金を引き上げた」「賃金を少し引き上げた」と回答した企業は合わせて半数を超えた。人材の流出を防ぐためには賃上げは不可欠だろうが、もう半数は変更がないとの回答だった。

こうした状況下、労働力の確保は企業にとって大きな課題となっており、「少し困難になっている」と回答した企業は41%、「非常に困難になっている」と回答した企業も19%にのぼった。

今後もインフレは継続? 経営者は先行きの不透明感に懸念

今後のインフレ率の見通しについては、「上昇する」と回答した経営者が45%と最も高い。「変わらない」と回答した層も44%にのぼり、予想は拮抗している状況となった。

今回の調査結果から、インフレが企業経営に深刻な影響を及ぼしており、企業は価格転嫁や賃上げ、コスト削減といった対応を迫られている現状が明らかになった。しかし、これらの対策は消費者や企業収益に新たな負担を強いる可能性もあり、抜本的な解決策には至っていない。

 

■調査概要

 調査名称:【インフレに関するアンケート調査】

 調査方法:クロス・マーケティングのQiQUMOを利用した調査を実施

 調査対象:企業経営者500人を対象に実施

 調査実施期間:2024年7月実施

小谷野税理士法人調べ【アンケート調査:インフレ 2024.7】