インフレによる物価高騰のなか、現金の資産価値は目減りします。預貯金以外で何かしらの資産運用をしないと損をする状態ですが、その投資先は吟味する必要があります。

インフレに強い投資先はどこでしょうか? 

投資の最前線で30年以上のキャリアを持つ、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は高配当株への投資を提案しています。なぜ今、高配当株なのか、そして配当金だけでなく値上がり益も見込んだ両取りの運用方法を紹介します。(全3回の1回目)

※本稿は、広木隆著『利回り5%配当生活』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

資産は「置き場所」で増減する

デフレ経済の下では物価が下がるので、超低金利の預金にお金を置いたままでも、お金の価値は目減りしません。それは全く金利が付かない現金で持っていても同じです。デフレは物価との見合いで、相対的にお金の価値を高める作用があるので、資産運用のことを考えなくても大きな支障はないと言えます。

ところがインフレの下では話が大きく変わってきます。物価は上がっていきますから、保有している現金を、物価上昇率を上回るリターンを生み出す資産にしないと、現金のままではその価値が目減りしてしまいます。

これまで「資産運用なんて、ちょっとお金を持っている人がやるべきことだろう」、あるいは「資産運用をしてみたいけど、もう少しお金が貯まってからにしよう」などと思っていた人は、大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

インフレが定着する可能性が高まっている

でも、そんな悠長なことを言っている時間は、もうありません。今すぐにでも重い腰を上げて、資産運用を始めるべきです。一番の理由は、インフレが定着する可能性が高まっているにもかかわらず、低金利が続きそうだからです。かつて物価が大きく上昇しているときは、それ相応に預貯金の利率は高めに設定されていました。

しかし、これからの時代は、金利が上昇しない中で物価が上がっていく可能性が高まっています。だからこそ、お金をどこに置いておくかが、とても重要になってくるのです。

タンス預金などもっての外ですし、銀行預金ではお金の価値の目減りを抑えることはできないでしょう。だからこそ、インフレに強いと言われている資産に注目する必要があります。

では、インフレに強い資産とは何でしょうか。

一般的には株式、不動産、金などのコモディティが、インフレに強い資産と言われています。とはいえ、これらのうち何を選んでも良い、というわけではありません。それぞれにリスクやリターンの質が異なりますし、少額資金で投資しやすいかどうかなど、さまざまな違いがあります。それらの点を見極めたうえで、自分のライフスタイルなどに合った資産を選ばなければなりません。