金(ゴールド)、不動産投資はリスクヘッジになる?

では、インフレに強い資産は何かを考えてみましょう。

まず金(ゴールド)です。地金型金貨や金地金(延べ棒)などさまざまな形態の金があり、簡単に買うことができます。金がインフレに強いとされるのは、それ自体がモノだからです。インフレはモノの値段が上がることですから、モノである、金の値段も上昇しやすくなります。

加えて国内金価格は円建てですが、その値動きには為替変動が加味されるので、昨今のように円安がインフレの一要因であるときには、国内金価格も円安につれて値上がりします。これらの理由から、金はインフレリスクのヘッジに有効と考えられています。

ただ、金は利息を生みません。あくまでも金という「物質」なので、株式の配当や債券の利金のような「インカムゲイン」は全く発生しないのです。利益を得るためには、あくまでも価格変動によるしかありませんが、金価格が今後、値上がりするのか、それとも値下がりするのかは、誰にも分かりません。場合によっては、価格が半額になることもあります。正直、長期的な資産形成の対象としては、いささか不確実性が高すぎる感があります。

地方都市では地価が値下がりするリスクも

不動産は、物価が上昇すると土地の値段が上がり、それゆえにインフレリスクをヘッジできるなどと言われてきましたが、正直、どの土地でもそれが当てはまるとは限りません。昨今のように、地方から大都市圏への人の移動が活発化しているなかでは、確かに大都市圏の一等地では地価上昇が実際に起っていますが、地方都市の小さい町になると、むしろ地価は値下がりする一方ということもあります。

最近はワンルームマンション投資なども流行っていますが、たとえワンルームマンションといえども、最低投資金額は1000万円超になるのが普通です。不動産という単一の資産クラスだけで、自分の保有資産ポートフォリオの大部分を占めてしまうのは、リスク管理の観点からも、あまり望ましい分散の仕方とは言えないでしょう。

もし不動産を自分のポートフォリオに組み入れたいのであれば、ワンルームマンション投資やアパート経営のような現物不動産に投資するのではなく、不動産投資信託(J‐REIT)に投資することをお勧めします。