日立と共同で環境事業を開始 法改正で新ビジネスに参入しやすく

最後に滋賀銀行の新ビジネスにも触れておきましょう。滋賀銀行は近年、日立製作所と共同で環境事業を進めています。

滋賀銀行は2022年、カーボンニュートラルを目指し日立製作所と協業を開始しました。2023年1月にはCO2排出量の管理ツールを共同で開発し、取引企業の脱炭素を支援するサービスを提供しています。

2024年1月には、日立製作所と共同で風力発電の実証実験を開始しました。小型の風力発電設備を本店の屋上に設置するもので、将来の事業化を目指しています。さらに2024年4月、太陽光発電設備を活用し企業や行政のGX(グリーン・トランスフォーメーション)を支援する「しがぎんエナジー」を設立しました。

実は地方銀行が再生可能エネルギー子会社を持つケースは増えています。2022年7月にめぶきフィナンシャルグループが「常陽グリーンエナジー」を、2023年4月には千葉銀行が「ひまわりグリーンエナジー」を設立しています。

背景には事業範囲規制の緩和があります。

銀行は法令で銀行業以外の事業が制限されています。しかし2016年に銀行法が改正され、銀行業の高度化に役立つことを条件に出資制限が緩和されました。緩和の対象は2021年の改正でさらに拡大したことから、銀行はより幅広い事業を営むことが可能となりました(出所:内閣府国家戦略特区ワーキングループ 「一定の銀行業高度化等会社」の業務へのGX業務の追加(2024年4月24日))

銀行で再生可能エネルギー子会社の設立が増えているのは、この業務範囲規制の緩和が一因だと考えられます。

再生可能エネルギー以外の子会社を設立する例も増えています。業種別では投資会社やシステム会社、コンサルティング会社などがよく見られます。

銀行の業績は金利に左右される傾向にあります。しかしこれら新ビジネスが成長すれば、銀行の金利依存は低下するかもしれません。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)