◆「世界半導体株投信」は1年で103%リターンと他を圧倒

このようなパフォーマンスが起点となって人気化しているのは、個別のファンドでも同じだ。「野村世界業種別投資(世界半導体株投資)」は過去1年間のトータルリターンが103.1%とずば抜けて高い。「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) 」は5月16日に設定されたばかりのファンドだが、6月末時点で過去1カ月のトータルリターンが12.0%と、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の同7.7%を上回っていることなどが、今後への期待になっているのだろう。また、「次世代米国代表株ファンド」は、過去1年間のパフォーマンスこそ36.5%とS&P500を下回っているものの、30銘柄に厳選して投資する姿勢等が先行きの期待につながっているものと考えられる。

一方、ランキングで順位を落としているファンドでは、「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」の過去1年間のトータルリターンが31.3%、「フィデリティ・世界割安成長株投信 B(為替ヘッジなし)」が同28.1%など、S&P500や全世界株式(オール・カントリー)のパフォーマンスを下回る成績になっている。依然として、資金流入ランキングでトップ20に残っているようなファンドは、過去のパフォーマンスを評価されているため、1カ月程度の結果によって信頼が大きく崩れることはないだろうが、やはり、足元のパフォーマンスが優れないと資金流入の勢いが鈍ると考えられる。

このようなパフォーマンスによってファンドが選ばれるという要素が強くなると、国内株ファンドは評価が劣後してしまうことになる。国内株式はTOPIX(東証株価指数)で過去1年間では22.8%、日経平均株価が19.3%と年間で30%にも届かないという結果であるためだ。今回のトップ20には、国内株式をメインの投資対象として運用するファンドは1本も入ってこなかった。7月になって、TOPIXが34年半ぶりに1989年12月の高値を抜いて史上最高値を更新するなど、国内株式が復調してきている。来月のランキングで国内株ファンドがトップ20に戻ってくるのか注目されるところだ。

◆6月新設でインデックスファンドに新シリーズ 「成長」「高配当」意識

なお、6月に新規設定されたファンドは13本で、設定額は合計約270億円だった。前月と比較して設定本数(前月は16本)、設定額(同約560億円)ともに減少し、直近1年間で最も低い水準になった。新規設定額で最も大きかったのは「三井住友DS・ジャパン・ハイ・コンビクション・ストラテジー」(三井住友DS)(設定額:約120億円)だった。次いで、「いちよし・グローバル好配当戦略ファンド(年6回)」(東京海上)(約60億円)となった。また、新たなインデックスファンドシリーズとして「アムンディ・インデックスシリーズ」(アムンディ)がスタートした。ノーロードで低コストのインデックスファンドながら、「オールカントリー・大型成長株」「オールカントリー・高配当株」など、従来の時価総額加重平均方式のインデックスに「成長株」や「高配当」などの付加価値をつけている点がユニークだ。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩