勝手極まりない老親たち
北海道在住の森山吹子さん(仮名・40代・既婚)の現在79歳の父親は、2017年に脳出血を起こして手術を受け、1カ月半ほど入院。一命はとりとめたものの指先にしびれが残った。一方、現在78歳の母親は2018年10月、心筋梗塞を起こして倒れ、搬送先の病院で手術を受け、1カ月ほど入院した。
母親は、2019年4月頃には糖尿病の教育入院。2020年6月頃には肺がんが見つかり、放射線治療のため入院と、入退院が続いた。
「母は、心筋梗塞を起こしたあたりから、『あれ?』と思うような言動が多くなりました。その後も入退院を繰り返す度に認知が低下していったように思います」
心筋梗塞を起こして搬送された病院は、森山さんが長男を出産した病院だったが「初めて来た」と言い、糖尿病の教育入院のときには、長男に「高校の入学祝い」をくれたが、袋には何も入っていなかった。放射線治療の入院中は、「主治医が気に入らない」と言って勝手に退院してしまったり、主治医を変更してもらって再入院した後、気に入らない医師のことを忘れていたりと、おかしな言動が増えていた。
そして2023年10月。77歳だった母親は再び救急搬送される。自宅で突然へたりこんだまま立ち上がれなくなり、父親の力でもどうすることもできなかったのだ。原因は脱水症状と栄養失調だった。そのとき救急車に乗って病院まで付き添った父親は、「これで妻を入院させられる!」と内心喜んだが、点滴を受けただけで帰宅させられると知った途端、激しく落胆した。