前回まで、新NISAに対する筆者の秘策(全世界株式インデックスファンド、米国ハイイールド社債ETF、米国超長期国債ETFETFはいずれも通貨ヘッジ付)への等金額投資、月次積立)の「機関投資家向け運用と比較した個人投資家向け運用の『理想像』」(以下「個人投資の理想像」)との整合性を検証してきた。今回は、「個人投資の理想像」の最後のチェックポイントを確認する。

 

7. 経済合理性一辺倒。「理想像」ではあるが、実行困難となっていないか(1.(2)ホ))
「個人投資家向け運用の『理想像』」の最後のチェックポイントである。

経済的合理性を重んじるあまり理想に走り過ぎていないか、ということだが、その可能性は排除できない。それどころか大いにある。

市場に好不調の波があることを想定して、3種類のファンドを投資対象として選定した。加えて、一括投資ではなく定額積立を選択し、余裕資金を常時持つことで市場下落に備える、等々の手立てを講じている。筆者なりに、持続可能性を高めているつもりだ。

ただし、いささか複雑になっているきらいは否めない。「策士策に溺れる」を地で行っているような気もする。ましてや市場は不確実であり、予見できない事態が勃発するのがむしろ日常だ。加えて、筆者も人間である以上迷いはある。情報過多の世の中、SNSやYouTubeを見て、全世界株ではなく米国株にしておけばよかった、いやインド株がよかったかも、という具合に、心は千々に乱れることもありえよう。その時に、果たして、自らの決めたやり方を貫き通せるか否か。

実は、本稿で手の内を明かすのも、自らを縛り付け、迷いを断つ、という目的もある。とはいえ、事前にできることは全てやっておかないと迷いは断てない。なので、過去データを用いて、可能な限りの検証を行っておく必要がある。

併せて、積み残しとなった、4.トレンドを持った価格の上下動に対応できるか、に関連して、特に、トレンドを持った価格下落に耐えられるかも、次項で検証していく。