相続にはたくさんの手続きが必要になります。事前に準備をしようと思っても、年金、保険、ガス電気、水道、クレジットカード……と、どれから調べればいいのか混乱してしまいます。

そんななか、相続専門の税理士・橘慶太さんが監修を務めた書籍『決してもめない! 手続きが2時間でわかる! 円満相続のコツ 見るだけノート』は、温かみのあるイラストが豊富で、わかりやすいと評判です。今回は特別にイラストを含め、万が一のときに知っておきたい死後の手続きを紹介します。(全3回の2回目)

●第1回:「失敗しない死後の手続き」死亡届を出したあとに必ずやらないと大問題になる手続きは? 

※本稿は、橘慶太(監修)『決してもめない! 手続きが2時間でわかる! 円満相続のコツ 見るだけノート』(宝島社)の一部を抜粋・再編集したものです。

世帯主の変更は14日以内に行う

故人が世帯主だった場合、世帯主の変更をしなければなりません。世帯主は主にその世帯の生計を担っている人で、行政手続きを行う際の代表者でもあります。社会的に世帯の顔として認知される立場ですが、経済的に自立した成人でなければならないという決まりはありません。夫が亡くなったら自動的に妻が世帯主に決まるわけでもなく、15歳以上であれば所得に関係なく誰でも世帯主になれます。

 

世帯主の変更は故人の死亡後14日以内が期限。「住民異動届」という書類を提出して変更します。提出先は居住自治体の役所で、書式は自治体ごとに異なります。郵送は原則として不可なので注意しましょう。申請できるのは新しく世帯主になる人、もしくは同じ世帯の人。手続きには窓口に行く人の本人確認書類と印鑑、加入している場合は国民健康保険証が必要です。

運転免許証は返納したほうがいい

高齢ドライバーの運転免許証の自主返納が一般的になってきました。とはいえ、故人の免許証については返納の義務はありません。何らかの費用を請求されることもなく、期限が来れば自動的に失効するものです。ただし運転免許証更新連絡書などの通知は引き続き届きますし、悪用の危険もあります。余裕があれば、折りを見て返納手続きをとったほうがいいでしょう。

 

運転免許証について返納期限は設けられていません。手続きは任意のタイミングで、故人の住所地を管轄する警察署や運転免許センター、運転免許試験場に出向いて行います。手続きに必要なものは故人の運転免許証、亡くなったことを証明する書類(死亡診断書のコピー、住民票の除票など)、申請者の本人確認書類(運転免許証など)です。手数料は無料となっています。