相続にはたくさんの手続きが必要になります。事前に準備をしようと思っても、年金、保険、ガス電気、水道、クレジットカード……と、どれから調べればいいのか混乱してしまいます。
そんななか、相続専門の税理士・橘慶太さんが監修を務めた書籍『決してもめない! 手続きが2時間でわかる! 円満相続のコツ 見るだけノート』は、温かみのあるイラストが豊富で、わかりやすいと評判です。今回は特別にイラストを含め、万が一のときに知っておきたい死後の手続きを紹介します。(全3回の1回目)
※本稿は、橘慶太(監修)『決してもめない! 手続きが2時間でわかる! 円満相続のコツ 見るだけノート』(宝島社)の一部を抜粋・再編集したものです。
まずやるべきことは死亡届の提出
大切な家族を失った直後は心の余裕もなくなってしまうもの。それでも余計なトラブルを避けるため、必要な手続きは速やかに済ませましょう。
身内が亡くなって最初にやることは死亡届の提出です。この用紙は役所や病院などに置いてあり、書面左側が死亡届、右側が死亡診断書になっています。これを死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地か本籍地、または届出人の所在地の役所に提出します。
死亡診断書は、死亡を確認した医師に記入してもらいます。有料ですが、医師以外が作成することはできません。死亡届の届出人になれるのは親族、同居人、亡くなった場所の所有者(家主・地主)、同じく管理者、後見人など故人に関係がある人です。死亡届が受理されると、引き換えに「火葬許可証」が交付されます。これは、遺体の火葬に必要な書類です。
死亡届を出したあとに必ずやるべきこと
死亡届を提出し、葬儀が済んだあとも、やるべきことがたくさんあります。
故人が年金受給者の場合、厚生年金は死亡後10日以内に、国民年金は14日以内に「年金受給権者死亡届」を提出しなければなりません。「国民健康保険証」と「介護保険証」がある場合も14日以内に返却する必要があります。
また、故人が世帯主だったとき、やはり14日以内に変更届を役所に提出する決まりになっています。各種契約の解約や名義変更も忘れてはいけません。故人名義で契約していたガス・電気・水道などの公共料金の名義変更は、なるべく早めに済ませましょう。故人が使用していた携帯電話も、今後使うつもりがなければ、料金が発生する前に解約します。金融機関の口座は、死亡届を出していても自動的に凍結されないので連絡を忘れないように。ただ口座が凍結されると、各種手続きができなくなるので注意が必要です。