顧客との信頼の基盤は規律を重んじる質素倹約の哲学にあり
ピクテは創業以来、カルヴァン主義の教えを受け継ぎ、それは現在もなおパートナーや社員の企業活動や行動を特徴づけています。カルヴァンは「天職に励めば、自分自身の救済を確信できる」と唱え、規律と責任を重んじました。善行や富という形の成功は、美徳の産物とみなされ、救いのしるしとされました。
貿易、金融、商業、熟練技術といった世俗的な報酬は、謙虚さ、公共の利益への貢献、貧しい人への配慮を伴っている限り、勤勉な労働の対価と考えられました。こうした献身、善意、人格、忍耐といった資質こそがピクテの職業倫理として形成され、代々受け継がれることで、ピクテ独自の目利き力を支え続けてきました。
目利き力を支える責任意識とは、顧客のみならず、社会に対して、さらには未来に対しても責任感や義務感を持つことです。そのためには粘り強く卓越性を追求し、職業倫理に基づいて行動し、顧客や社会からの信頼と尊敬を獲得し続けなければなりません。規律を重んじる精神は、ピクテの質素倹約の哲学にも表れています。
何事にも無理をすることなく、過度な目標を立てず、堅実で持続可能な経営を実践することが、結果的に顧客との長期的な信頼関係の基盤となっています。
創業時から変わらない、資産を「守る」という意識
顧客からの信頼のもと、その核となる資産を長期にわたり守り続けてきたピクテの歴史は、言い換えれば、運用の高度化に挑み続けた歴史でもありました。そして、数々の戦禍や危機を乗り越えた体験からピクテが学び到達した解のひとつが、徹底した分散投資です。
運用リスクの低減を図るとともに、安定したリターンを確保するため、長期にわたりその実践を積み重ねてきました。資産を「守る」という意識は創業期からピクテに根付いています。そして、時代が変われば「分散投資」のあり方も必然的に変わります。2世紀の経験を経た今、その運用哲学が体現されたピクテのマルチアセット運用戦略では、株や債券などの資産の分散や地域・国の分散にとどまらず、オルタナティブ投資などにも対象を広げ、徹底的な国際分散投資を行っています。
さらに、市場環境に応じてその配分比率を機動的に変えるなど、今の時代に応じた資産運用のありかたを探求しながら、急激なドローダウン(下落)から資産を守り、相対的に安定した値動きの中でリターンを向上させることに努めています。ピクテのマルチアセット・アロケーション戦略には、マーケットや経済指標、投資プロセス、流動性などさまざまな要素を深く理解し、プロとしての複合的な判断、つまり「目利き力」が最大限に発揮されています。