日本でも話題の世界的なベストセラー書籍『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』。「資産ゼロで死ぬ」ために、お金をどう使い切ればいいのかに焦点を当てています。
いち早く本書に注目し、日本で広めてきたのがマネーコンサルタントの頼藤太希氏です。そして、頼藤氏はより日本に適した資産の取り崩し方を考案しています。お金の心配を減らしつつも、たくさんの思い出を作るのにはどうすればいいのでしょうか? 幸せな人生で終えるための投資術を紹介します。(全2回の1回目)
※本稿は、頼藤太希著『60歳からの新・投資術』(青春出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。
最後は資産を使い切って死にたい?
老後のお金を貯めることは大切です。ただ、それよりももっと大切なことがあります。
それは、貯めたお金を上手に使うことです。お金は貯めることが目的ではなく、将来の自分が使うために貯めるものだと言うと、一見当たり前のことに思えるでしょう。しかし、この当たり前ができている人は、意外と少ないようです。
お金は、ないよりはあったほうがいいことは間違いありません。人生が終わりに近づいてきた時にカツカツの生活を送らざるをえない状況では、後悔しながら死んでいくことになるかもしれません。もしもの時に備えて、最低限のお金は貯めておく必要はあります。
しかし、お金を必要以上に貯めこむ必要はありません。「死んだ時が人生で一番お金持ちだった」という人もいますが、そんな人生は幸せとは言えないのではないでしょうか。
全世界でベストセラーになっている『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)は、タイトルどおり「資産ゼロで死ぬ」をテーマにした本であり、資産形成期に築いた資産を上手に使い切っていくことの重要性を説いています。
「資産を残して亡くなったら、その資産を使うことで得られるはずだった経験を得られなかったことになる。人生で一番大切なのは、思い出を作ることだ」と同書は語ります。
仮にあなたが1000万円の資産を残して亡くなったとしたら、1000万円分の経験ができず、その分の思い出が作れなかったということです。この1000万円を仮に時給1500円で週40時間働いて稼ぐとすれば、ざっと3年4か月も働かなければなりません。
しかし、そうして働いて貯めた1000万円を使わずに死んでしまったら、タダ働きしたと同じことだとも言っています。
そう指摘されれば、資産を計画的に取り崩し、「資産ゼロで死ぬ」を実践したほうがよいと多くの人が思うのではないでしょうか。早いうちから自分のためにお金を使ってさまざまな経験をし、たくさんの思い出を残したほうが、豊かな人生を送れるでしょう。
よく言われることですが、あの世にお金は持ってはいけません。お金を貯めこんだまま最期を迎えるよりも、資産をできるだけ使い切って最期を迎えたほうが、人生の幸福感は高いのです。豊かな人生を送るためには、「資産ゼロで死ぬ」意識でお金を使っていくことが大事であると念頭に置きながら、この後を読んでいただければと思います。