◆高成長のインド株はアクティブ、中小型株にシフト
一方、この米国ハイテク株を基軸にした投資戦略とは異なる軸で台頭してきているのが「インド株」に投資するファンドだ。2024年5月のランキングでは、大和証券のトップが「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」、SMBC日興証券のトップが「インド小型厳選株式ファンド」、そして、みずほ証券も「新光ピュア・インド株式ファンド」がトップだ。インドは、14億人を超える世界最大の人口を抱える大国で、しかも、その人口の中央値が29歳という非常に若い世代が多い国だ。現在はGDPの規模で世界の第5位だが、今後、上位にあるドイツや日本を抜いて2027年には米国、中国に次ぐ、世界第3位の経済大国に成長すると予想されている。若く成長期待の強いインドは、世界経済の動向とは関係なく、インド国内の需要の拡大だけで十分に企業成長できる土壌がある。エヌビディアの決算が市場の期待に応えられずに株価が急落するようなことがあっても、それとは関係なく成長が期待できる市場といえる。
もちろん、インド経済の成長力の強さは世界中で共有され、インド株価の上昇率は、「MSCIインド(配当込み、円ベース)」で過去3年(年率)で25.51%(2024年5月末現在)で、同期間の「MSCI米国(配当込み、円ベース)」の22.28%を上回る。この上昇率によって、インド株の割高感を指摘する声が出てきてもいる。それだけに、インド株インデックスではなく、アクティブ運用型のインド株ファンド、特に、出遅れ感が指摘される中小型株を投資対象としたファンドが売れ筋に上がってきているのだろう。今後、この動きがインド株人気として広がって定着するものか注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩