「世界幸福度ランキング2024」日本は10点中6点で51位

日本の幸福度の推移(図表①)を見ると、2017~2019年を底に徐々に上昇しています。特に2020~2022年はコロナ禍にもかかわらず最高値となり、直近では若干下がったものの6点台を維持し、過去最高水準にあります。

図表① 日本の幸福度の推移

出所: Helliwell, J. F., Layard, R., Sachs,J. D., De Neve, J.-E., Aknin, L. B., & Wang, S. (Eds.). 「世界幸福度報告」2013~2024年の各年版より第一生命経済研究所作成 (注):世界幸福度報告の2014年版は現在公表されていないため、2011~2013年のデータは掲載していない

やや意外な感じもしますが、日本だけでなくコロナ禍における幸福度の推移は世界的にも同様の傾向にあるそうです。「想定よりも経済の落ち込みが避けられたことや、コロナ禍によって逆に人とのつながりが支えになった等の要因が挙げられます」と村上氏。

そもそも世界幸福度報告では、どのように幸福度を測っているのでしょうか。実は各国の幸福度は、たった一つの質問への回答によって算出されます。自分の人生が理想的であれば10、逆であれば0とした場合に、どの段階にいるかを梯子(はしご)に例えて答えてもらいます。その上で幸福度に影響する6つの要因(図表②)として、どの項目がどの程度、幸福度に影響しているかを詳しく分析しています。

図表② 報告における幸福度に影響する6つの要因

出所:「世界幸福度報告」より第一生命経済研究所作成

143カ国中の51位の日本は、世界の平均以上です。その要因は経済水準(国民一人当たりGDP)にあり、強みともいえます。ただしランキング上位10カ国と比較すると、強みであった経済水準も相対的に低くなり、他の要因も同様の傾向にあります。唯一、健康寿命だけは上位10カ国よりも高いという状況でした(第一生命経済研究所による「世界幸福度調査2023」の分析結果)。

なお、前提となる幸福度を測る質問については課題もあるのが現状です。グローバルスタンダードな測り方ではあるものの、「西欧の国々では高い数値が出る一方、日本を含む東アジアの国々では中庸が好まれるため、低く出る傾向にあります」と村上氏。この点については日本からのイニシアティブで国連において他の測り方も検討されているということです。