資産形成の初めの一歩は「給与天引き」の利用がベスト
ここまで、「企業は従業員の満足度を上げるために福利厚生制度を用意している」「特に資産形成を支援する制度に力を入れている」ということをご紹介しました。
ただ、そうは言っても、若手社員はこれからスキルを磨いて給与を上げていく段階。必ずしも資産形成のために潤沢な資金が用意できたり、資産形成について学ぶ十分な時間が取れたりするわけではありません。資産形成はなるべく早くスタートするのが良いとは分かっていても、「とはいえ余裕がなさすぎる!」というのが実情でしょう。
そんなもどかしさを抱えている若手社員の方に向けて、初めの一歩としておすすめしたいのは「給与天引き」の利用です。今後職場の何かしらの積立制度を使う際には、この仕組みを活用して積み立てをしてほしいのです。
給与天引きとは、給与の一部をあらかじめ従業員が契約した積立制度で利用する金融機関に企業が直接送金する仕組みのこと。利用するメリットは大きく2つあります。
1つは、毎月簡単に一定額を積み立てられること。お金を移す手続きが面倒で忘れてしまうこともなければ、お金を使いたい気持ちに負けて「気付いたらお金が残ってない……」という事態に陥る失敗も防げます。また、職場の担当者からは定期的に制度に関する案内があるので、どんなに仕事に追われていようとも資産形成について考える機会が作れます。
2つ目のメリットは、“家計の見える化”の第一歩になることです。昨今、家計管理は家計簿アプリを使うことが一般的ですが、中には都度の入力ができず挫折してしまう人もいるでしょう。給与天引きを使えば、給与明細に税や社会保険料などと共に「天引きされた金額」が必ず記載されるので、毎月1回は必ず収支をチェックする習慣ができます。
●最初の一歩の踏み出し方が分かったところで、次は積み立てに使える制度の優先順位を決め、資産形成のための「最強ペア」を考えます。お金と時間に余裕がない若手社員が最優先で使うべき制度は、後編【【新入社員必読!】持株会、企業型確定拠出年金、NISA。資産を増やすため“最優先”で利用すべき制度は…】で詳説します。