今週のマーケットは、米国のCPIに大きく反応しました。市場予想よりも高い数字だったため、金利が上昇して株価は下落、ドル高も進みました。米CPI発表は10日だったので、その日の米国市場と11日の日本市場は大きく動揺しています。

そのCPIの影に隠れてしまいましたが、同じ10日に3月のFOMCの議事要旨も発表されましたが、これまでに見たことのない文言が出てきました。この文言を深掘りしていくうちに、米国景気はもっと悪化すると予想していたのに、実際はそうならなかった理由がわかったのです。

私が着目したのは、議事要旨の中で「イミグレーション(移民)」という言葉が5回も登場したことです。FRBの金融政策決定会合であるFOMCで、この言葉が5回も使われ、多くの参加者が移民の経済的影響の大きさを指摘していました。

これまではインフレーション、経済成長、失業率、企業業績など、マーケットでよく使われる言葉が中心でしたが、そこに移民という言葉が出てきた。議事要旨を読む際、私はまず全文をワードに落として、気になるキーワードを検索するんです。例えば、インフレーションという言葉が10回、フェデラルファンドという言葉が15回出てきたといった具合です。

今回、イミグレーションという言葉を検索してみると、なんと5回もヒットしたのです。最初にこの言葉が登場するのは、前半の経済見通しに関する部分でした。3月のFOMCで発表された経済予測では、成長率が大幅に上方修正され、景気の強さが示唆されていました。この予測の修正は、移民の増加による人口増加をスタッフが織り込んだことが反映されていると説明されています。つまり、3月の予想が強気だったのは、移民の増加で人口が増えたからだというのです。

 

米国の人口動態統計を見ると、1月に大きく数字が跳ね上がる特徴があります。そして、その後は季節変動のようなパターンで推移します。今回の1月から3月にかけて上方修正は、移民の増加による人口増加が理由だったわけです。