株主還元を拡充 配当と自社株買いで年2000億円を計画
将来の見通しも確認しておきましょう。
富士通は2023年5月、中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を公表しました。売上高は4兆2000億円、事業再編といった一時的な損益を除いた調整後営業利益では5000億円を目指す内容です。引き続きITサービスへの集中を進め、業績の拡大を狙います。
【中期経営計画の財務目標】
2023年3月期 (実績) |
2026年3月期 (目標) |
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売上高 | 3兆7000億円 | 4兆2000億円 |
調整後営業利益 | 3200億円 | 5000億円 |
調整後営業利益率 | 9% | 12% |
コアフリーキャッシュフロー | 1500億円 | 3000億円 |
株主還元の拡充も発表されました。1年あたり2000億円の株主還元を実施し、2026年3月期までの3期で6000億円を還元する内容です。2023年3月期までの3期では3500億円を還元していました。
自社株買いの大幅な積み増しにより、富士通の総還元性向は90%に達しています。還元を重視する投資家からは今後も注目されそうです。
なお、自社株買いは計画通りに行われないケースに注意が必要です。自社株買いは一般に上限が設定されますが、その全てが実施されるとは限りません。
例えば富士通は2023年4月、1500億円(1200万株)を上限とする自社株買いの計画を公表しました。しかし実際に取得したのは1030億円(451万株)にとどまっています(出所:富士通 自己株式の取得に関するリリース(2024年3月26日))。
富士通の株主還元は自社株買いが中心となる計画です。自社株買いは公表時だけでなく、実施状況も確認しておきたいところです。