売上は減少傾向も利益は増加 コア事業への集中で採算向上

直近で売り上げを伸ばす富士通ですが、実は長期でみると減収傾向にあります。国際会計基準に移行した2014年3月期以降、売り上げは2022年3月期まで8期連続で減少しました。

一方で収益性は向上しています。営業利益は増加傾向にあり、2023年3月期は過去最高を更新しました。営業利益率は9.0%に達し、2014年3月期(同3.1%)から5.9%ポイント上昇しています。

財務の改善も進んでいます。特に有利子負債比率の低下と株主持分比率の上昇が進みました。借入金の消化が進む一方、利益が順調に積み上がっている様子がうかがえます。総資産はほぼ変化していませんが、構成は健全なものになっているようです。

利益率の改善は中核事業への集中があります。

富士通は近年、パソコンや携帯電話端末、スキャナといったハードウェアの製造を手掛ける事業を切り離してきました。2023年12月にも半導体パッケージを手掛けてきた新光電気工業の譲渡を決定しています。

利益率が向上したのは、不採算事業を整理し主力のITサービス事業へ集中したことが奏功しているとみられます。