株式市場でHOYA(ホーヤ)が注目を集めています。半導体が関心を集めており、半導体ブランクス(半導体用フォトマスクの部材)で高いシェアを持つHOYAにも買いが向かっているようです。株価は2021年9月の高値(1万9435円)を更新し、2024年3月には一時2万円を突破しました。

【HOYAの業績】

   売上高   純利益 
 2022年3月期 6615億円 1645億円
 2023年3月期 7236億円 1686億円
 2024年3月期(予想) 7560億円 1660億円

※2023年3月期(予想)は同第3四半期時点における同社の予想

出所:HOYA 決算短信(外部リンク)

出所:Investing.com(外部リンク)より著者作成

HOYAはメガネレンズやコンタクトレンズのメーカーとしてよく知られます。しかし、実はエレクトロニクスの分野で高いシェアを持つ企業でもあります。2023年7月には収益性と市場評価性(PBR基準)から「JPXプライム150指数」にも採用されました。

HOYAとはどのような企業なのでしょうか。事業内容や業績を押さえましょう。また積み上がったキャッシュの使い道について、HOYAの方針も紹介します。

メガネレンズと医療機器が柱 「アイシティ」も運営

HOYAは光学機器やガラス製品のメーカーです。1941年に光学ガラスメーカーとして設立しました。社名は創業地の保谷町(ほうやちょう、西東京市)に由来します。

主力製品はメガネレンズやコンタクトレンズ、医療用の内視鏡です。半導体やディスプレイ、HDD(ハードディスクドライブ)といったエレクトロニクス製品向けの精密部材も手掛けています。またコンタクトレンズの小売店「アイシティ」の運営も行っています。

【セグメント情報(2023年3月期)】

       主な製品  セグメント売上高 
 ライフケア  メガネレンズ、コンタクトレンズ、
 内視鏡、医療用処置具
4746億円
 情報・通信  半導体用ブランクス、
 フォトマスク(半導体、FPD)、
 HDD用ガラス基板、カメラレンズ
2443億円
 その他  音声合成ソフト、情報システム 46億円

※FPD:フラットパネルディスプレイ
※HDD:ハードディスクドライブ

出所:HOYA 決算短信(外部リンク)

売り上げの7割は海外が占めています。アジアや太平洋地域の比率が大きくなっていますが、欧州や米州でもそれぞれ全体の20%前後を占めており、特定の地域への依存は小さめです。円高が1%進んだ場合の為替感応度は、2023年3月期では対米ドルで4.6億円の減益、対ユーロで0.3億円の減益、対タイバーツで2.8億円の減益でした(出所:HOYA 有価証券報告書(外部リンク)

【地域別売上高(2023年3月期)】
・日本:1700億円(23.5%)
・米州:1272億円(17.6%)
・欧州:1444億円(20.0%)
・アジア、太平洋:2711億円(37.5%)
・その他:107億円(1.5%)
※()は構成比

出所:HOYA 決算補足資料(外部リンク)