成長投資枠では日本株が買われている一方、全体では海外インデックス型投信が大人気

では、具体的に中身を見ていきましょう。日本証券業協会の資料によると、成長投資枠での買付額は、2023年1-3月の1カ月平均が0.5兆円だったのに対し、2024年1-2月までの1カ月平均では1.5兆円になったということです。また、つみたて投資枠は、2023年1-3月の1カ月平均が900億円だったのに対し、2024年1-2月の1カ月平均は2700億円でした。ちなみに、2023年1-3月の1カ月平均値は、一般NISAとつみたてNISAの数字です。

同期間における買付額は、成長投資枠が1.5兆円に対して、つみたて投資枠は2700億円。いずれも前制度時に比べて大幅な増額となっていますが、圧倒的に成長投資枠が積極的に利用されています。

この差が生じるのは、制度の違いから考えても当然でしょう。成長投資枠の場合、年間投資枠は240万円まで認められており、しかも一括で投資することが可能です。たとえば1月に240万円分をまとめて投資することもできるのです。

これに対してつみたて投資枠は、年間の非課税枠が120万円までであるのに加え、毎月の積立投資が前提です。ということは、120万円の年間非課税枠をめいっぱい使うにしても、毎月積み立てていくとしたら、1カ月の投資金額は10万円が上限になります。

したがって、2024年1-2月の1カ月平均の買付額で、成長投資枠がつみたて投資枠を大きく上回るのは、当然のことといっても良いでしょう。

成長投資枠は株式やETF、J-REIT、投資信託を買い付けることができますが、このうち株式と投資信託の買付額の比率を見ると、株式が59%で、投資信託が41%でした。

ちなみに株式にはETFとJ-REITが含まれていますが、このうちETFには、海外市場に投資するタイプも含まれています。そのため純粋に日本のマーケットへの買付額がいくらになったのかを正確に把握できないのが残念ですが、ひとまず株式への買付額が59%を占めたということで、日本企業に成長資金を供給するという、成長投資枠の狙いは一応、実現できていると考えて良いでしょう。

また成長投資枠を通じた、ETFとJ-REITを含む国内株式と外国株式の買付比率を見ると、国内株式が91%と圧倒的に高く、外国株式はわずか9%に止まりました。NISAは基本的に国内居住者を対象とした制度ですが、米国株式をはじめとする外国株式に投資して得た利益も非課税対象になります。

成長投資枠での株式買付上位10銘柄は、国内株式が9銘柄、外国株式が1銘柄でした。この点からも、成長投資枠で買い付けられている銘柄の大半は国内株式であることが分かります。

また投資信託は、成長投資枠、つみたて投資枠の両方とも、買い付けられた上位10ファンドを見ると、海外市場に投資するタイプが中心で、運用手法はインデックス型が多くを占めました。

成長投資枠で買い付けられた投資信託の内訳を投資先で見ると、国内が1銘柄、内外が2銘柄、海外が7銘柄となっています。また、つみたて投資枠では、国内がゼロで内外が3銘柄、海外が7銘柄でした。運用手法ではインデックス型が10銘柄で、アクティブ型はゼロです。ここからも、インデックス型に個人の人気が集中していることが分かります。

以上の調査結果から、特に投資信託に関しては成長投資枠もつみたて投資枠も、海外市場に投資するインデックス型が人気であるとうかがえます。