新NISA販売で求められるのは「提案・説明力」と「商品の充実」

事前にさまざまな準備を重ねたとはいえ、実際に販売する中で見えてくる課題もある。「新NISAを実際に販売してみて、浮かび上がってきた課題は?」という問いに対しては、次のような回答が目立った。「短期売買は推奨されないが、それを希望する顧客もいる。NISA本来の目的が達成されない可能性があり、どのように伝えれば理解してもらえるのか」「顧客の金融リテラシーに対する販売手法の差別化」「顧客の好みに合わせたプランを納得できるように提案する力が求められている」。長期的な資産形成に対する顧客の理解や、ニーズに合わせたプランを提供するための販売側のスキルなどに課題があることが浮き彫りになったと言えそうだ。加えて、「他社とのラインアップの差別化」「品ぞろえの充実」など取り扱う商品に対する課題も散見され、前述した販売状況が芳しくない状況と課題に、共通点が多くあることが分かった。

注目すべきは、各社の評価体制に対する意見だ。「新NISAは長期目線での販売が主だが、手数料収入も成績に加味されるため、推進活動においてどちらかに偏るとどちらか捨てなければならなくなる」など、顧客本位の業務運営と自身の評価の優先順位に悩む回答もあり、販売現場における葛藤が垣間見えた。「顧客に新NISAを長期活用してもらえるために重要だと思うポイント」(図2)についての質問でも、前述の課題を反映する回答があがっており、実際に新制度がスタートし、顧客と対する中で、重要と思える点が課題と紐づいていることがうかがえた。

●図2 顧客に新NISAを長期活用してもらうために重要だと思うポイント(複数回答)