債券? 株式? ソフトバンクが上場させた社債型株式とは
2023年11月2日、これまでにない新しい金融商品が誕生しました。ソフトバンクが上場させた社債型株式です。社債と株式の両方の特徴を持つことで注目を集めました。価格変動は小さく、おおむね発行価格(4000円)前後で取引されています。
【ソフトバンク社債型株式の株価(日足終値、2023年11月2日~2024年1月12日)】
社債型株式は普通株式のように資本性を有します。ソフトバンクにとっては財務の悪化を抑えつつ資金を調達できるメリットがあります。
もっとも、資本性は一般に普通株式の方が優れています。しかし社債型株式は議決権がなく普通株式への転換権もありません。議決権が希薄化しないため、普通株式の発行と比べ既存株主への影響を小さくできます。
投資家にとってのメリットは安定的な配当です。社債型株式は普通株式より優先的に配当を受けられます。また普通株式の配当金は変動しますが、社債型株式は原則として当初5年間(2029年3月末までの事業年度)は固定配当です。
【普通株式と社債型株式の違い】
普通株式 | 社債型株式 | |
調達金の資本・負債の別 | 資本 | 資本(※1) |
議決権 | あり | なし |
普通株式への転換権 | ― | なし |
配当(利子)の変動・固定の別 | 変動 | 当初5年:原則固定 当初5年以降:変動 (※2)(※3) |
※1.調達額の50%の資本性を取得
※2.2029年3月末までは100円(発行価格4000円×2.5%)、2024年3月末を基準日とする第1回配当金は41.53円(1年を366日とする日割計算)
※3.2029年4月以降は発行価格4000円×(1年物国債金利+3.182%)
出所:ソフトバンク 第1回社債型種類株式優先配当金の配当年率の決定に関するお知らせ、野村證券 国内初の上場社債型種類株式の商品開発および引受けについて
ただし配当利回りは普通株式の方が高くなることが予想されます。好調な業績が続く場合、投資収益は普通株式の方が大きくなりやすいでしょう。
【普通株式と社債型株式の配当利回り(2024年1月12日終値)】
普通株式 | 社債型株式 | |
株価 | 1882.5円 | 4007円 |
予想年間配当金 | 86円(※1) | 100円(※2) |
予想配当利回り | 4.57% | 2.50% |
※1.2024年3月末を基準日とする予想配当金
※2.2024年3月末を基準日とする第1回配当金は41.53円(1年を366日とする日割計算)
ソフトバンクへの好調を期待するなら普通株式を、安定的なリターンを重視するなら社債型株式を選んでみてはいかがでしょうか。