コロナ後に成長 高単価戦略で初の売り上げ4兆
コロナでは苦戦したブリヂストンですが、その後は回復しました。事業譲渡益の計上もあり2021年度の純利益は3940億円と過去最高を更新しています。翌期は最終減益(調整後営業利益は増益)となったものの、売上高は同社として初めて4兆円を突破しています(非継続事業(米国建築資材、防振ゴム、化成品ソリューション)を含む)。
【売上高・純利益の推移(2019年度~2022年度)】
ただし販売が伸びたわけではありません。タイヤ販売本数は2020年度からは大きく回復しているものの、コロナ前(2019年度)の9割程度にとどまっています。
【タイヤ販売本数の推移(グローバル、2019年度~2022年度)】
業績を押し上げたのは高単価戦略にあると考えられます。ブリヂストンは高付加価値商品の販売を強化しており、グローバルで好採算の高インチタイヤの販売比率が上昇しています。高インチタイヤに高価格帯ブランドを含めたプレミアム領域の販売比率は2023年度に55%に達する見込みです。
【高インチタイヤ販売比率(欧米、18インチ以上)】
新車用 | 市販用 | |
2019年度 | 53% | 25% |
2022年度 | 61% | 37% |
2023年度(計画値) | 65% | 40% |
【高インチタイヤ販売比率(新興国、17インチ以上)】
新車用 | 市販用 | |
2019年度 | 53% | 27% |
2022年度 | 65% | 34% |
2023年度(計画値) | 70% | 35% |
出所:ブリヂストン 中期事業計画(2021―2023)進捗 説明会資料
値上げも奏功しました。ブリヂストンは原料の高騰を背景に国内外で値上げを実施しています。利益の押し上げ効果は2021年度で790億円分、2022年度で3250億円に達しました。原材料や営業費の増加をこなし好業績につながっています。
新しい中期経営計画(2024年度~2026年度)の策定進捗によると、ブリヂストンは2030年以降にプレミアム領域の減速を想定しています。同社はリストラで浮いた経営資源を成長領域へ投入することで成長を目指します(出所:ブリヂストン 中期事業計画 (2024―2026) 策定進捗 説明会資料)。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)