新NISAを別の金融機関で始めるなら、タイミングが重要

次に、現行NISAとは違う金融機関に、新NISAの口座を開設したいと考えている方もいらっしゃると思います。これが結構面倒です。

まずA銀行からB証券に口座を変更する場合は、A銀行から「金融商品取引業者等変更届出書」を提出し、その後にA銀行から届く「勘定廃止通知書」をNISA口座開設の申込書に添えて、B証券に提出します。これでA銀行からB証券への口座移管は完了するのですが、問題はタイミングです。

2024年1月から、新NISAを別の金融機関で始めるには、2023年11月中の手続きが必要です。一応、12月中でも口座の移管手続きを取ることはできますが、変更後の金融機関では税務署の審査も必要なので、それに要する期間を考慮に入れると、2024年1月からスタートできるかどうか分からなくなります。

また、2024年に入ってから「やっぱり他の金融機関に変更しよう」などと心変わりして、変更手続きを行おうとしても、2024年に入ってから1度でも、変更前の金融機関にあるNISA口座で買付が行われてしまったら、2024年中の金融機関変更はできません。

この場合は、2025年にならないと他の金融機関の口座移管はできませんが、2024年10月1日から、遅くとも11月中に変更手続きを済ませれば、2025年1月から新しい金融機関で、NISAを始めることができます。

この口座移管で特に注意しなければならないのは、現時点で銀行に現行NISAの口座を持っていて、つみたてNISAを活用している場合です。

銀行の場合、NISAを通じて購入できるのは投資信託だけです。現物株式やJ-REIT、ETFは証券会社にNISA口座を開設しない限り、購入できません。したがって、銀行でつみたてNISAを利用している人が、新NISAで株式やJ-REIT、ETFまで投資対象を広げようとしたら、やはり口座の移管が必要になります。

しかし、上記の変更手続きをギリギリまでしないでおくと、2024年をもってつみたてNISAは、そのまま新NISAのつみたて投資枠に移行され、かつ初回の買付をされてしまう恐れがあります。そうなったら、2025年になるまでは金融機関の変更ができないので、注意が必要です。