成長投資枠の投資では、セールストークに気を付けて

少し運用面に踏み込んでみましょう。生涯非課税枠が1800万円まで拡大したことによって、「何か新しいこと」にチャレンジしてみたいと考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、これまで月3万3333円(年40万円)までしか積立投資できなかったつみたてNISAは、つみたて投資枠で月10万円(年120万円)まで積立投資できるようになり、月10万円(年120万円)までが限度額だった一般NISAは、成長投資枠になったことで月20万円(年240万円)まで投資できるようになったので、枠が広がった分だけ、今までとは違うものにも投資してみたいという気持ちが湧き上がってくるのは、当然だと思います。

ですが、これが結構、落とし穴にもなるので注意してください。

恐らく金融機関のなかには、こうした気持ちにつけこんで、コストが割高な商品を勧めてくる恐れがあります。インターネット証券などであれば、利用者を勧誘する営業担当者はいないので、自分自身の判断で投資先を決められますが、すべてのNISA利用者がインターネット証券会社を選んでいるということはないでしょう。

特にある程度、年齢層の高い人には多いと思うのですが、対面の金融機関でNISA口座を持っている場合、営業担当者から直接、さまざまな商品の営業を受けるケースも考えられます。

そのような場合、利用者にとってコストが割高な、そして販売側からすれば高い手数料などでもうかるような投資信託を勧められるようなことも、十分にありうるでしょう。資産形成で大事なのは、投資先の判断を他人に委ねないことです。

どれだけ良い商品であるかのように思えたとしても、金融機関側はその金融商品を販売したいがためのセールストークを述べているだけに過ぎませんから、話半分に聞くことをお勧めします。

同じ金融機関でNISAを続けるにしても、別な金融機関に口座を移管させるにしても、それが金融機関と付き合う際の基本的なスタンスです。あなたが損をしたとしても、金融機関は何もしてくれないし、責任のかけらも感じていないはずですから、自分の身は自分で守るようにしてください。