販売姿勢に問題 アドバイザーの妄信は危険

2022年度にフィンマックに寄せられた苦情の内容で、最多だったものが説明義務に関するものでした(仕組債以外の商品も含む)。金融商品の販売者にはリスクやコストといった重要情報を説明する義務が課されています。これを怠ったとして多くの苦情が寄せられているようです。

【苦情内容の主な内訳(2022年度)】
・説明義務:388件(30.6%)
・会社不満:133件(10.5%)
・取引制度:112件(8.8%)
・売買一般:93件(7.3%)
・適合性の原則:83件(6.6%)
・強引な勧誘:80件(6.3%)

出所:フィンマック 2022年度 紛争解決等業務の実施状況について

金融庁が仕組債の販売実態を調査したところ、金融機関が収益の獲得を目指すあまりリスク許容度の低い顧客にも販売していたことが判明しました。購入者は高いリスクを認識しないまま仕組債を買っていた可能性があります。

収益確保に焦点を置き、想定顧客層や商品性を十分検証しないまま、リスク許容度の低い資産形成層にまで販売対象を拡大し、真の顧客ニーズを把握せずに仕組債を販売していた

引用:金融庁 リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(2023年6月)

多くの金融機関は営利企業で、営業員や営業店には基本的に達成すべき収益目標が課せられています。本来は顧客の利益を最大化させるアドバイスが求められるところ、ノルマ達成に重点を置いた提案がなされる可能性に注意が必要です。

金融機関の担当者から得た助言はうのみにせず、必ず自身でも情報を収集して判断しましょう。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)