旧・定年時代と現代社会を比較してみる

少しだけ歴史を振り返ってみましょう。

バブルが崩壊するまで右肩上がりの経済成長を維持していた日本では、多くの企業が年功序列の終身雇用制度を採用していました。この制度では雇用期間が長くなればなるほど人件費は増大しますが、それを超えるスピードで業績が上がっていたため問題はなかったのです。

一つの企業に60歳定年まで勤め、退職金をもらって老後は悠々自適な生活を送る。受験勉強を勝ち抜いて大手企業に入社すれば将来は約束されていました。

バブルが崩壊してからも、しばらくはその風潮が残っていたように思います。「エリートコースを歩めば将来が担保される」という意味では、分かりやすい時代だったといえるでしょう。

しかし、時代は変わり、現在は2023年です。年功序列の終身雇用制度は崩壊し、人生100年時代を迎え、少子高齢化が進みました。AIにまつわるテクノロジーが急激に進化し、新型コロナの影響で毎日会社に通勤する人が減りました。

目まぐるしい変化の波に吞み込まれず、安全性や安定のみを追い求めるのは、至難の業です。明らかに以前と異なっているのに、現状維持を追い求めるのはなぜでしょうか。

それは、「旧・定年時代」の価値観にしばられているからではないでしょうか。

旧・定年時代と脱・定年時代の歩き方

上図のように、従来の終身雇用制度から逸脱しない生き方を無意識に選んでいませんか。心のどこかで、定年、再雇用、年金生活の定番コースをたどることが、「最も安全で確実」と考えていませんか。

繰り返しになりますが、リスクを回避することが安全圏に逃げ込むことにつながる時代は終わりました。

残念ながら、あなたの目の前に見える、最も安全そうに見える道には、非常に危険なトラップがいくつも仕掛けられているのです。

その昔、高度成長期の日本では、還暦を迎えると、会社の仲間に「ご苦労様でした」というねぎらいの言葉とともに送り出されました。

必ずしも全員が悠々自適の生活を送れるわけではありませんが、少なくとも、現在のように老後の資金を心配する必要はありませんでした。よくも悪くも、入社後の社会人生活は一本道でした。

時代が変わったことを嘆いても仕方がありません。

大丈夫です。時代の変化に合わせて、新しい道を開拓すればいいのです。50代で転職をしてもかまいせん。自分のタイミングでスモールビジネスの準備を進めたり、不動産投資などで不労所得を狙ったりしてもかまいません。

独立のタイミングも自分で決めるのが、脱・定年時代の作法です。

もちろん、独立せずに会社から業務委託を受けるという選択肢もあります。転職もスモールビジネスも業務委託も、すべて自分で自分の道を切り拓くための手段に過ぎません。「こうあらねばならない」という王道の確定ルートは存在しないことを理解してください。