毎月分配金のメリットとは
毎月分配型はデメリットが多いとよく指摘されますが、メリットもあります。よく指摘されるのが取り崩しの手間を省ける点です。
一般に高齢者は資産を取り崩す時期にあたります。毎月分配型なら定期的に分配金を受け取れるので、運用を続けながら自動的に資産を取り崩すことができます。
下落時の損失が小さくなるメリットもあります。毎月分配型は資産の多くを払い出すため、運用資産が小さくなる傾向にあります。値上がり時の利益が小さくなる一方、反対に値下がりするときは損失を抑えられます。
具体的な銘柄で比較してみましょう。アメリカ株式で運用される「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」シリーズには、為替ヘッジしない銘柄として年2回決算のBコースと毎月決算型のDコースがあります。
2022年はアメリカ株式全体が下落傾向にあったため、この2本はいずれもマイナスでした。ただし損失幅は異なります。年2回決算のBコースの方が、毎月決算型のDコースより1%ポイントほど損失が大きくなりました。分配金として払い出すことで運用資産が小さくなり、損失が限定されたためだと考えられます。
【アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の2022年リターン】
Bコース (年2回決算) |
Dコース (毎月決算) |
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2021年末の基準価額 | 4万7942円 | 1万2692円 |
2022年末の基準価額 | 4万0057円 | 9323円 |
2022年中の実績分配金 (1万口当たり) |
310円 | 1100円 |
トータルリターン (分配金再投資なし) |
-18.85% | -17.88% |
出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリー
なお、毎月分配型と同様の効果は、自身で投資信託を売却することでも得られます。一部の金融機関では定期的に投資信託の売却を行うサービスを提供しています。投資したい銘柄に毎月分配型の設定がない場合、それらを利用してみてはいかがでしょうか。
反対に興味があるファンドに毎月分配型しかない場合、金融機関で再投資コースを選択すれば分配金を再投資できます。ただし再投資できる分配金は税金控除後となること、NISAでは再投資分も非課税投資枠を消費してしまうことには注意してください。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)