基準価額を必ず下げる分配金

そもそも分配金は、リターンには直接的な影響がありません。分配金をいくらもらっても、それだけ基準価額が下落するため、トータルではプラスにもマイナスにもならないためです。

基準価額は以下の式で算出されます。

【基準価額の計算式】
純資産総額÷総口数

出所:投資信託協会 投資信託の基礎知識

分配金は分子の純資産総額から支払われます。分母の総口数が変動せず分子のみが減少するため、基準価額が必ず下がるのです。これを「分配落ち(ぶんぱいおち)」と呼びます。1万口あたり分配金が100円なら、分配落ち後の基準価額は100円下落します。

つまり、どれほど多くの分配金を受け取っても、それだけ元本部分が値下がりするため投資家のリターンには影響がないのです。分配金の高さだけで銘柄を選ぶ行為は朝三暮四といえるでしょう。

さらに複利(ふくり)が働きづらくなるというデメリットもあります。複利とは得られた利益を再投資し、運用資産を膨らませることでさらに大きな利益を得ようとする運用方法です。例えば100万円を利回り10%で運用するとき、1年目の利益は10万円ですが、これを再投資し110万円で運用すれば次の利益は11万円に増加します。

毎月分配型は分配金で資産を多く払い出してしまいます。利益が再投資されないため複利が働かず、運用効率が悪くなる可能性があります。新NISAで毎月分配型が除外された理由は、このデメリットを懸念したためだといわれています。