「投資はギャンブルか否か」はよく議論されるテーマです。投資にはリスクがあり、損をする可能性をはらんでいることは確かにギャンブルと共通しています。

投資はギャンブルといえるのでしょうか。「バリュー投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアムは、株式投資とギャンブルの違いを以下のように整理しました。

投資とギャンブルを分けるものとは

投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。そしてこの条件を満たさない売買を、投機的行動であるという。

引用:ベンジャミン・グレアム、土光 篤洋『賢明なる投資家』パンローリング

グレアムは投資と呼ぶには条件があると言いました。すなわち「詳細な分析に基づくこと」「元本の安全性を守ること」「適正な収益を目指すこと」の3つであり、その他の取引はギャンブルであると指摘します。

話題の株をよく調べないまま買うことや莫大(ばくだい)な利益を目指した無謀な取引は投資とは呼べないようです。

またグレアムは以下のような言葉も残しています。

いつでも、投資家は自分の保有株には投機的な要因があるということを認識していなければならない。この要素を最小限に抑えると共に、いつやってくるか分からない来たるべき逆境に対して、財政的そして心理的に備えるのが投資家の仕事である。

引用:ベンジャミン・グレアム、土光 篤洋『賢明なる投資家』パンローリング

グレアムは、いかなる投資にも投機的な要素を含むと認めています。その影響を減らす行為、およびそのリスクの顕在化に備えることが投資だと伝えています。

お金を増やしたいならギャンブルではなく投資を

グレアムは投機の全てを否定しているわけではありません。「賢明な投機」があると認める一方、以下3つの行為は特に「愚かな投機」だと指摘しています。

・投資と勘違いした投機
・娯楽としてではなく真剣に、しかも適切な知識も技術も持たずにする投機
・リスクを許容できないほどの金額をかけた投機

これらに当てはまる取引で安定的に収益を稼ぐことは難しいでしょう。お金を増やしたいなら、ギャンブルではなく「投資」を心がけてはいかがでしょうか。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)