証書にまさかの誤字

さらに言うと、実はこの商品を実際に購入したことのある人が、私の知人にいたので、証書を見せてもらいました。非常に立派な表紙で飾られた証書の券面には、誇らしげに「Certificate of inbestment(投資証書)」と書かれていたのですが、スペルが間違っていました。「inbestment」ではなく「investment」です。

果たして、このような間違いは起こりうるものなのでしょうか。海外法務を扱っている某大手法律事務所に確認したところ、「券面は非常に重要な役割を持っているため、証書のスペルに間違いがあることは絶対にありえない」という回答でした。

こうして野放しにされた結果……

ほぼ間違いなく「クロ」だと思ったので、疑問点を記事にして発表したのですが、MRIインターナショナルからは一切、クレームが来ませんでした。その後も幾度となく、この商品のいかがわしさについて書いたのですが、警察も金融庁も一切動かず、そのまま時間だけが過ぎてしまいました。

そのうち、あまり表立って商品を募集しているという話を聞かなくなったので、いつの間にか私も日々の忙しさにかまけ、MRIインターナショナルに関する情報収集・発信を怠ってしまいました。ところがその間も、MRIインターナショナルは有名人を広告塔に起用した広報誌を制作したり、メディアとタイアップしてセミナーを開催したり、既存客を率いてラスベガスツアーなどを開催し、さらに資金を集めていたのです。

そして2013年に、日本の顧客から集めた約1300億円の大半に運用実態がなく、関東財務局にも虚偽の事業報告書を提出していたことが発覚。巨額詐欺事件として報じられました。

その後、被害者弁護団も組まれたものの、何しろMRIインターナショナルは米国企業ということもあり、預けた資金の返還問題は困難を極めました。最終的に、2018年5月(米国は6月)に和解が成立し、被害者約8700人に対し、総額約50億円が分配されることになりました。

被害者の中には高齢の方も結構いた様子であり、何とも気の毒な結果になってしまいました。「もっと警鐘を促すべきだった」と、深く後悔させられた事件です。