今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、投資信託の運用現場や投資の考え方について詳しく紹介したインベスコ・アセット・マネジメントの『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』の一部を特別に公開します(全3回/本記事は第3回)。同書を解説する無料セミナー情報も!

●第2回(「インデックス運用一択」ではもったいない!? アクティブ運用の重要度が高まるワケ)を読む

※本記事はインベスコ・アセット・マネジメント著『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』(KKベストセラーズ)から一部を抜粋・再編集したものです。

インベスコの世界株式の運用拠点、英国ヘンリー

ここからは、インベスコの世界株式運用チーム、つまりプロの運用者が実際どのようなことを考え、行動し、銘柄を選んでいるのかを具体的にご紹介します。

世界株式を運用するインベスコの主要拠点が英国にあります。英国にあると聞くと歴史的な金融街であるロンドンを想像する方が多いかもしれません。しかし、インベスコの株式運用の拠点はロンドンから西に約60㎞、電車で1時間半ほど離れたオックフォード近郊のヘンリー・オン・テムズというのどかな場所にあります。

町の中心部をテムズ川がゆったりと流れ、鴨やリス、時には孔雀が優雅に散歩をする姿を目にするほど自然豊かな風景が広がります。平日は地元の住人やインベスコの社員以外をあまり見かけることのない静かな町ですが、「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」が開催される夏を中心に大きな賑わいを見せます。もともと英国貴族やロンドンで成功した商人などが好んで別荘を建てたテムズ川上流の一帯であり、その閑静な住宅街には、現在も有名俳優、アーティスト、政治家などの邸宅が立ち並びます。多くの英国人に愛され続けている豊かな地域のつといえます。

ヘンリーで働くインベスコの社員も皆この場所を愛し、この環境は日々の資産運用業務にもポジティブな影響をもたらします。都会の喧騒から距離を置くことで、短期的な、場合によっては過剰ともいえる情報の波を遮断し、長期的な目線と柔軟な思考をもって投資と向き合うことができるのです。

インベスコ・ヘンリー拠点の歴史は、1973年まで遡ります。英国生まれのマーティン・アビブ卿(Sir Martyn Arbib)は34歳の時に、ヘンリー中心部の小さな建物でインベスコの前身であるパーペチュアル社*を創業しました。

*1973年当時はCharvine Finance Limited、1974年にPerpetual Trustee Company Limitedへ社名変更後、1987年よりPerpetual Limited(パーペチュアル・リミテッド)。

マーティンは、投資理念として創業当時から成長と割安という評価軸をもっており、企業のファンダメンタルズ分析にも定評がありました。着実にリターンを獲得するため「徹底した企業調査・分析に基づき、適正な価格で購入できると判断した時には、ためらわずに買う」という運用スタイルを一貫して続けました。

2000年秋、パーペチュアル社はさらに広く世界へ展開するため、資産運用業界におけるグローバル・プレイヤーとして定評のある、米国アトランタに本拠地を置くインベスコと合併しました。合併後もヘンリー拠点はインベスコの欧州エリアの中心拠点として機能し、また、成長と割安の観点から投資企業を厳選するパーペチュアル社時代からの投資スタイルが今も受け継がれています。