給与の停滞したデフレ下で行われた資産管理とは?
その間、サラリーマンの給料も上がることはありませんでした。30年前は「年収1000万円はサラリーマンの目標」と言われていたのが、今も状況はあまり変わりません。つまり、モノの値段は上がりませんでしたが、給料も停滞していたのです。
本来であれば、30年もあれば、年収1000万円は珍しくなくなって、年収3000万円くらいが目標になるぐらい経済成長していないとおかしいのです。
実際、日本の平均給与の推移を見てみると、1992年が歴代最高で(472.5万円)、2018年はピーク時から40万円ほど減っています(433.3万円)(「平均給与〈実質〉の推移〈1年を通じて勤務した給与所得者〉」厚生労働省)。
デフレを象徴する存在が「100円ショップ」です。大創産業が「100円SHOPダイソー」の展開に着手したのが昭和の終わりの1987年、初めて直営100円均一ショップを出店したのが91年と、まさにデフレの始まりと同時期になります。
こうしたデフレの長期化により、「お金は運用するものではなく貯めるもの」、「資産は手を付けずに置いておいても大丈夫」、「動かないほうが安全」、「余計なことはしないほうが良い」という考え方が日本人のマインドにしみついてしまったようです。
資産運用に関しても、非常に保守的な手法でお金を管理するということが選択されてきました。デフレ下ではキャッシュの価値が上がるので、低金利で利息は付かなくても、銀行に置いておけば良い、銀行に行き来する交通費が金利よりも高いのでお金は家で保管すれば良い、というのが資産管理の有効な手法となってしまったのです。