疎遠な親族の入所先からの連絡
絵美さん(仮名、55歳)はフリーのイラストレーター。30代のときに広告代理店から独立しました。10年ほど前に都心から電車で30分ほどの郊外に小さな一戸建てを購入し、アトリエ兼自宅にしています。絵美さんには長く交際しているパートナーがいますが、結婚はしていません。
絵美さんはイラストレーターとしての経験が長く、名前こそ一般には知られていませんが、その作品は誰もが目にしたことがあると言っていいほどさまざまなものに使われています。一人暮らしで、スタッフもアシスタントを1人雇っているだけなので、経済的にはかなり余裕があります。
両親は絵美さんが30代のときに相次いで病気で亡くなりました。独立のタイミングとも重なって大変でしたが、なんとか妹や親戚に助けられながら手続きなどをして乗り越えました。妹は国際線のCA(キャビンアテンダント)として忙しく働いており、帰国すると遊びに来ます。
絵美さんが外出先から戻ると、郵便が届いていました。母親の出身地の市役所からで、母親の妹(叔母)が市内の施設に入所しており、緊急時の対応をお願いできないかという内容でした。叔母とは長く会っていませんが、そういえば母親が存命中に、叔母が離婚したことや、その相手とのいざこざについて愚痴を言っていたことを思い出しました。妹は転居が多いせいか、どうやら手紙は届いていないようです。