公務員の定年を引上げる法改正が、令和5年4月1日から施行されました。
この法改正を踏まえ、前回の記事(【定年引上げ】公務員は60歳以降、手取りが大幅減!? その理由と3つの対応策)では、公務員の定年引上げに伴う給料への影響について確認し、特に60歳以降の手取り減少に備える上での考え方をいくつか紹介しました。今回は退職手当の支給繰り延べについて確認します。ご一読下さい。
定年引上げで給料が減っても退職手当は減らない、中には増える人も
原則60歳だった公務員の定年引上げが始まり、令和13年度から65歳定年になります。定年引上げに伴う退職手当への影響については、例外的な場合や条例で異なる取り決めをしているケースがあるかもしれませんが、総務省の資料※1によれば、以下の3点がポイントになると思います。
①60歳以降に給料が減っても、退職手当は減らない
②勤続年数が伸びて、退職手当が増える人もいる
③勤続年数が伸びて、退職手当の手取りが増える
※1 総務省公務員部「地方公務員法の一部を改正する法律について」(令和3年6月25日)
まずは①。公務員の退職手当は、ざっくり言えば、退職直前の給料に支給率をかけて計算されます。定年引上げで60歳以降の給料が減ると、61歳以降に受け取ることになる退職手当も減ってしまいそうに思えますが、そこはさすがに60歳定年時の水準が維持されるようですね。イメージ図をご確認下さい。
※2 総務省公務員部「地方公務員法の一部を改正する法律について」(令和3年6月25日)を基に筆者が作成
また、定年引上げ後、定年前に退職しても、退職理由は「自己都合」ではなく、「定年」として取り扱われるので、こうした場合でも退職手当が減ることはないようです。
そして②。イメージ図の「退職手当の基本額」の計算式を見ると、60歳以降に働いた分も含まれていることが分かります。つまり、原則、公務員の退職手当は長く働けば働くほど増える、ということです。
ただし、退職手当の計算式にある「支給率」は、勤続年数35年以上だと一定になりますので、60歳までの勤続年数が35年以上の人は定年引上げとなっても退職手当は60歳定年時と同じ金額になります。一方、60歳までの勤続年数が34年以下の人だと、定年引上げで退職手当が増えることになる、ということです。