高額療養費の対象外
前項で紹介した高額療養費は、「食費」や患者の希望によってサービスを受ける「差額ベッド代」「先進医療にかかる費用」は対象とはなりません。差額ベッド代の正式名称は「特別療養環境室料」です。
通常、入院すると6人部屋に入ります。6人部屋では別途費用はかかりませんが、1~4人部屋を希望して移動すると料金が発生します。
払わなくてもよいケースがある
個室に入った場合でも、差額ベッド代がかからないケースがあります。厚生労働省の通達では以下のケースでは、病院は差額ベッド代を請求してはならないと示されています。
・患者が同意書にサインしていない、あるいはサインをしたとしても同意書の説明内容が不十分な場合
・大部屋に空きがない場合や、患者の治療上の必要性により差額ベッドを利用した場合
つまり、希望して同意書にサインをした場合は、支払いが必要になるということです。短期間の入院ならともかく、もし長期入院となったら、高額な請求書を見て驚くことになりかねません。ときどき、「高齢の親が入院して個室を希望している。でも、そんな経済力はない」と頭を抱える子世代に会うことがあります。
本人が支払えなければ、入院保証人となった家族が支払うことになります。家族に負担をかけないよう、自身に支払い能力があるのかどうか、資産状況に加えて民間保険や共済に加入している人は、入院特約の有無や保証内容を調べて、信頼できる家族らに伝えておきましょう。
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