10年後には、国民の3人に1人が65歳以上になると見通されている日本。“アクティブシニア”という言葉も生まれ、豊かなセカンドライフを送ることが現役世代の指針となりつつあります。しかし、来たるシニア生活を心配する人は後を絶ちません。どうすれば老後を穏やかに迎えられるか、頭を抱える人も見受けられます。
話題の書籍『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』では、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が、自分らしいシニアライフに必須な“お金のコツ”を優しく解説。今回は本書の第6章「日々のお金」の一部を特別に公開します。(全3回)
●第1回:先進医療は高額療養費の対象外!? 知らないと損する“医療費と介護費の上限”
※本稿は、太田差惠子著『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』(産業編集センター)の一部を再編集したものです。
現金で残すことも選択肢
民間保険への加入が必要かどうかは、それぞれの考え方にもよるので正解があるわけではありません。しかし、“加入すればよい” というものでもないでしょう。
まず、「医療保険」から考えてみましょう。入院やケガに備えるものですが、第1回で紹介した通り、日本は国民皆保険であり、しかも高額療養費制度があります。特に70歳以上では手厚くなっています。
近頃、「高齢になってからでも入れる民間保険」のテレビCMを見ることが増えました。「お葬式代くらいは」と考える人もいるようですが、高齢になってから加入する民間保険料は、通常、割高です。それに、保険の場合、限定した使い方しかできません。
すでに加入している保険がある場合はともかく(解約すると損する可能性があります)、未加入の場合は、あえて加入せず現金で残すほうが使い勝手がよいケースが多いと思います。「民間介護保険」や「認知症保険」についても、年齢を重ねてからの加入は、お得感が限定されます。