大戦のはざまに訪れた「黄金の20年代」 日本でも「成り金」が続出
大戦で疲弊したヨーロッパと対照的に、アメリカは戦後に「黄金の20年代」と呼ばれる好況期に湧きました。ラジオの商業放送が始まり、電話や自動車が広く普及します。経済の拡大に押され、NYダウ平均は1921年から1929年にかけ約3.5倍にまで上昇しました。
日本も第一次世界大戦においては主戦場から遠かったこともあり、好景気が訪れます。参戦国向けに軍需品の輸出が増えたほか、西欧からの輸入が途絶えた東南アジアなどにおいても日本に商機が到来しました。
これらを背景に財を成した実業家が多数生まれ、人々は「成り金」と呼ぶようになります。歴史の教科書に載る、「どうだ 明るくなったろう」と百円札を燃やして明かりを取る風刺漫画(成金栄華時代)は、当時の成り金の生活ぶりを表現したものでした。
もっとも、黄金時代は長く続きませんでした。1929年10月24日にアメリカ株式市場の大暴落(暗黒の木曜日)が起こり、アメリカ経済は壊滅的な打撃を受けます。
【世界恐慌 アメリカの経済指標】
出所:日本銀行金融研究所 1929~33年世界大恐慌について
アメリカに端を発した不況は世界を巻き込み、世界恐慌を招きました。日本も昭和恐慌と呼ばれる不況に直面したものの、1931年から金利を低くし財政収支を拡大(いわゆる高橋財政)させたことで比較的早く脱します。
【主要国の工業生産の推移(1929年=100)】
世界恐慌は、各国に保護主義的なブロック経済を形成させるに至りました。これにより分断が起こり、2度目の世界大戦を招いたとする指摘もあります。