アジア通貨危機で生じた深刻な経済危機
アジア通貨危機は、単に為替が値崩れしただけでなく、実体経済に深刻な影響を与えました。
為替レートの急激な下落は、同じくドルペッグ制を採用していたインドネシアや韓国といったアジアの国々にも伝播します。これらの国は外国からの投資で大きく成長していました。しかし為替が急落すると急速に資金が流出し、対外債務の増加とそれらに起因する信用不安が台頭するなど、深刻な打撃を受けます。
自力での再建を断念したタイとインドネシア、韓国の3国はIMFへ支援を求めました。IMFが緊急融資の条件として厳しい緊縮財政を強いたこともあり、1998年には大幅なマイナス成長を記録します。特にインドネシアは前年比50%台の記録的なインフレに見舞われ、経済は大混乱に陥りました。
【主なアジアの国の実質GDP成長率(1996年~2000年)】
出所:IMF 世界経済見通し(2023年4月)
【主なアジアの国のインフレ率(1996年~2000年)】