海外情勢、インフレ、物価の上昇……。世界経済は転換期を迎えています。先の見通しづらい今こそ、少しでも資産を増やしておきたいもの。しかし、一足飛びに投資を始めるのは危険でもあると、家計再生コンサルタントの横山光昭氏は指摘します。では、投資以前に大切なものは何か――それは、「貯める力」だと説きます。

話題の書籍『90日で貯める力をつける本』では、2万件を超える「赤字家計」「貯金ゼロ」「低年収」家計を再生してきた横山氏が、お金に困らないための究極メソッドについて優しく解説。今回は、本書の『はじめに』、第1章『あなたの人生を豊かにする「貯める力」のすごさ』の一部を特別に公開します。(全4回)

●第1回:90日間でみるみる変わる! 超シンプルなメソッドで「お金が貯まる」体質に

※本稿は、横山光昭著『90日で貯める力をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

改めて…なぜ、今、「貯める力」なのか

私がここのところ、家計相談で目にする現実を平たく言ってしまいましょう。

まず何よりもムダな支出のスリム化をすべき人や、キャッシングなどで借金するような人が、よく分わからないままに、つみたてNISAやiDeCoなどの投資を始めたり、さらには一攫千金を狙ってビットコインなどの暗号資産を購入したりというケースがあるのです。

たしかに、老後などの将来を見据え、早めに投資を始めてほしいとは思います。しかも、税制優遇制度であるつみたてNISAやiDeCoはぜひ、利用してほしいのですが、家計が赤字の状態でするのは本末転倒。投資のお金は積み増せても、生活が困窮したり、借金をしてしまうのでは、意味がなくなってしまうのです。

第1回でも少し触れましたが、人はそれぞれに合った「お金のステージ」をこなさないと、必ず失敗します。

投資に興味を持つことは決して悪いことではありません。でも十分なお金がないとか、家計状態が整っていないのにチャレンジすると、結局は損失を出さないように、あるいは損失を取り戻そうと、必死になります。必要以上の時間と労力を注ぎ込んで、かえって赤字が増えてしまうのです。

初心者には難しい投資に手を出してしまうなどして、大きな損失を出してしまう人もいます。ですから、自分の「お金のステージ」を知り、それに合わせてステップアップを目指すことが大切です。